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BLOG - フイナム編集部

サカイとザ・ロウに見る、現代ファッションの在り方。

異国で朝から晩までファッションに触れる生活はついに最終日。編集部の村松が綴るファッションウィークのデイリーレポートもこれがラストです。

この日のショーで最も観客を集めたのは〈サカイ(sacai)〉でした。会場はファッション感度の高いひとたちが集まるマレ地区のイベントスペース。そこに数々の有名人が訪れるなか、我々の向かいにはマーク・ゴンザレスが座っていました。

コレクションは、コートにブルゾンを重ねた黒のスタイルでスタート。その後も、ミリタリーやアウトドア、ワークなどユニフォーム的な服を自由自在にアレンジした、〈サカイ〉らしい迫力あるスタイルを見せました。

どれもキャッチーなデザインで分かりやすく、振り切っている感じが伝わってくるのですが、それをリアリティのある服として成立させているところに、このブランドの技術力の高さがあります。

会場にいたマーク・ゴンザレスは、実は今コレクションにアートワークを提供。それが〈sacai〉×〈SPIEWAK〉のG8ジャケットにあしらわれています。

また、老舗シューメーカー〈ジェイエムウエストン〉とタッグを組んだ靴もあるとか。

 

 

 

インパクトの強い〈サカイ〉と対極的なのが〈ザ・ロウ(THE ROW)〉です。今回もファッションウィークに合わせて、パリのオフィスで展示会を開きました。

このブランドが提案するのは究極のシンプル。見た目に派手さはありませんが、仕立てと素材へのこだわりは尋常ではありません。

まず我々が目にしたのはイブニングウェア。メンズとウィメンズの垣根を越えるような服たちのなかにはコーデュロイを使ったダブルのジャケットも。このワーク感のある素材をさり気なくイブニングウェアに取り込んでしまうところが面白く、その見た目に違和感はありません。

また、トレンチコートは〈ザ・ロウ〉が特に大切にしているアイテムのひとつ。黒を纏わせることで、通常のものと異なるエレガントな一着へと昇華しています。

ある意味、タイムレスな〈ザ・ロウ〉の服たちは新作と過去のものを違和感なくコーディネートできるところにもよさがあります。それらは時代が変わっても古さを感じさせず、組み合わせ方次第ではフレッシュさを演出することもできるのだとか。華美なものだけではない、ラグジュアリーの新たな一面を〈ザ・ロウ〉は我々に教えてくれます。

 

そして、この日は〈ロエベ(LOEWE)〉のRE-SEEにも足を運びました。ランウェーで見たものを実際に手に取ると、デザインの面白さはもちろん、凝ったつくりにも驚かされました。どれも手が込んでいてチープに見えないところはさすが〈ロエベ〉です。

会場には、今回タッグを組んだアメリカ人画家、リチャード・ホーキンスの作品が飾られていました。

 

続いて、移転リニューアルした〈コム デ ギャルソン〉のパリ店に行ってみるも、まさかの休み…!  日曜定休のショップが多いことをすっかり忘れていました。事前にインフォメーションを確認しないとダメですね。

 

ショップでは〈ルメール(LEMAIRE)〉にも足を運びました。昨年3月、マレ地区にオープンした新店で、3つのスペースをひとつにした広々とした空間にメンズ&ウィメンズの服やアクセサリーなどが置かれ、ブランドの世界観をしっかり堪能できるようになっていました。この部分的に黒く塗ったファサードがとてもクール。

 

お次はファッションウィークのオフィシャルスケジュールで2回目の発表となる〈ベッドフォード(BED j.w. FORD)〉のショーです。会場はパリ左岸の歴史ある学校で、両サイドに本棚が並ぶ通路をランウェーに見立てて行われました。

前開きの深いリブニットからスタートしたコレクションは、モデルたちのノンシャランな雰囲気で印象的で、服自体はカジュアルなものが多いのですが、どれも不思議とエレガント。いい意味で色気があるというか、パリの街に自然と馴染むような美しさを備えています。

 

この日、最後に我々が向かったのは「パリ第五大学薬学部」の校舎。〈ダブレット(doublet)〉のショーをチェックするためです。

コレクションのテーマは「THE CURE」。不安を掻き立てるような曲に乗ってあらわれたモデルたちは、どのひとも顔が白く、白目をむいたような表情。つぎはぎのようなスーツや袖が破けたジャケット、穴の空いたニットなどを纏う姿はどこかゾンビのようでもありました。

フードの部分がタオルになったフーディやプロテインのパッケージを模したようなバッグ、“NAP” の文字が目立つスエット、グリーンのハートのグラフィックに “HEAL TECH” の文字が刺繍されたトップスなどなど、〈ダブレット〉ならではのウイットに富んだアイテムもありました。

 

ショーの前後には会場外の出店でお好み焼きを振る舞うサービスも。お土産はおたふくソースとお好み焼き・たこ焼き粉でした(笑)。

 

凍てつくような寒さのなかで、一時はどうなることかと思ったファッションウィークの取材。滞りなく6日間を完走することができました。最後にパリ滞在のまとめとして、次回のブログで総論的なことを書こうと思っています。

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