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BLOG - フイナム編集部

個人で映画が買える時代!?

編集部の須藤です。

サブスク全盛期ですが、「DVT」という世界初の新たな映像流通サービスがローンチされるそうで、ついさっき説明会に行ってきて感心してしまったのでブログで紹介します。

説明会後に、ある作品の上映がありました。写真はそのトークショーの様子。この監督は…

 

DVTとはなんぞやの前にまず…。サブスクは基本料金を払えば好きなだけ映像を観られるというもので、コンテンツ量がとんでもなく多い現代には便利なサービスです。ただその反面、観終わればユーザーと作品との関係性はその場でブツッと切れてしまう、そんな呆気なさもあるような気がします。

今回紹介する「DVT」は、映像作品が消費するコンテンツとして扱われる昨今に警笛を鳴らすサービス。「DVT」は映像作品を「コレクションする価値ある資産」として扱うのです。

 

「DVT」とはそもそも「DigitalVideoTrading /デジタル・ビデオ・トレーディング」の略称。このサービスでは、DVTの名のもとオンライン上で映像作品が販売されるのですが、それをDVDと同じように固有のアイテムとしてユーザーが保有することが可能なんです。端的に言えば、映像作品のライセンスを個人で買えるということ。さらに作品を購入したユーザーは第三者へのリセール、レンタル、交換、プレゼント、上映、展示等ができます。だから“Trading/トレーディング”。購入さえすればその後どのように使うかはユーザーの自由なんです。

ちなみにオンライン上で販売される作品の数には限りがあるので、売り切れた場合は、保有しているひとにアクセスしない限りその作品には触れられません。この特別感もまたよきですね。

そしていちばん重要なのがここ。作品の購入者は第三者にリセール、レンタルする場合、価格を自由に決めることができて、その取引が行われるたびに、出品者(製作者)には権利料が還元されるそう。しかも権利料のパーセンテージは出品者が事前に決められる。

つまりは、作品が人から人へ渡るたびに出品者に権利料が入り、その渡る回数が増えれば増えるほど出品者にさらなる利益がもたらされるというわけ。すごい。ここ最近、映像制作の労働環境を嘆くニュースなども多いですが、これがあれば経済面で直接的にサポートできるんです。

 

 

そんなDVTプラットフォームが、今週4月12日(金)から「Roadstead(ロードステッド)」という名前でローンチされるわけですが、オリジナル作品も製作していくとのことで、その第一弾として発表されたのが黒沢清監督の短編作品(!!)。なんとまあ贅沢な。タイトルは『Chime』です。上記写真の真ん中におられるのが黒沢監督。

そして僭越ながら、一足先に鑑賞してきました。

いやあ…黒沢監督の新作が観られると足取り軽やかに向かいましたが、その足がとんでもなくガクガクして、帰り道は路地から人が出てくるたびにビクッとしてしまいました。雨も降ってたし、余計体がブルブル…。45分と短いのがまたニクく、描かれないシーンがあるからこそ余計にぞわぞわする。詳しくは言えないので擬音多めですが、そんな作品です。気になる方は買ってみてください。

 

DVTについては私の説明だと不十分なところがあるので、詳しくは公式ホームページに任せるとして、、それにしてもおもしろいサービスだと思いませんか?

だって、好きな監督の作品や好きな俳優が出ている作品を、1つ買えば直接支援ができるし、いつでも好きなだけ観られて、友達や家族で上映会なんてのもできるし(これが公式に認められている…!)、だれかに渡したくなればオンライン上で譲渡、レンタルができる。写真を撮ってメルカリに出品して郵送して…の手間も一切ない。

映画のDVDやアーティストグッズを持っている人ならお分かりかもしれませんが、このサービスは所有欲を満たしてくれるうえに、応援したい気持ちを直にクリエイターに届けられる。しかも世界中で観ている人が限られているという優越感もある。いやあすごいことを思いついたなあ。

ステマでもなんでもなく、ただ説明会を聞いて感心したのでブログにしたまででした。個人的にはオリジナル作品が楽しみ。誰が関わっている作品なら買いたいかな〜と妄想してみたのですが、やっぱりこのあたりでしょうか…!他の人のも知りたいな。

ケリーライカート、濱口竜介、ホン・サンス、ヴィムヴェンダース、レオスカラックス、ビクトルエリセ、ギヨームブラック、ツァイミンリャン、宮崎駿、グザヴィエドラン(引退したけど…引退したからこそ…)

今回の黒沢清監督作品は限定999個で、販売価格は99USドル(14,850円)。決して安くない金額ですが、その後の広がり方やさまざまなメリット、何より極私的な映像体験はなにものにも代えがたいはずです。

ぜひ「DVT」「Roadstead」、以後お見知り置きを。

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