CLOSE
BLOG - フイナム編集部

【アメリカ旅行記 第五回】ポートランドの過去といまで変わったこと。

 

 今回から数回に分けてポートランドについて書こうと思う。実はポートランドには、いまから5,6年ほど前に少しだけ住んでいたことがあった。久々の再訪ということもあり、他の都市よりも少しのんびり、一週間ほど滞在する予定だ。

 ポートランドといえば、かつて「全米で最も住みたい街」として注目を浴び、コンパクトな街ながら、多くの若いアーティストやクリエイターなどが移住して独自の発展を遂げた場所である。2015年前後に日本のメディアでも頻繁に紹介されていたことを覚えている。その後、ポストポートランドとしてデンバーやオースティンなどその他の都市に注目が集まり出し、ポートランドのブームもやや下火になり始めたタイミングで、コロナウイルスによるロックダウン。それ以降、ポートランドがどのように変わったのか、まったくアップデートされないまま今回の再訪となった。

 まず到着してそうそうに感じたのは、ホームレスこんなに多かったっけ、ということ。噂には聞いていたが、思った以上に増えていた。たしかにポートランドにはシェルターが多いこともあり、ホームレスフレンドリーな街としてホームレス界隈? でも人気らしい。ポートランド行きのグレイハウンドの乗客にホームレスらしきひとが多かったのも、もしかしたら移住が目的だったのかもしれない。

ホームレスのテントが集まっているエリア。シェルターの近くや大きな駐車場の周りなどにはホームレスが集まりやすい。

これは提供してもらった画像だが、つい最近までホームレス用の仮設住宅(通称ホームレスハウス)なんてのもあったらしい。

自分が訪れた時はちょうど撤去直後だったようで、地元のニュースにもその旨が報道されていた。

 写真で紹介した場所以外にも、ポートランドの中でも特に治安が悪いとされているチャイナタウン周辺を散歩したが、道端に注射器が転がっていたり、ドラッグで完全にキマってゾンビ状態になっているホームレスも多かった。これは、2020年にオレゴン州がハードドラッグの所持を非犯罪化に踏み切ったことの影響もあるのだろう。どうしたら人間がこうなってしまうのか、日本にいたら決して見ることのできない景色である。最も忘れられないのは、下半身丸出しの若い女性が白昼堂々、道のど真ん中で何かを喚き散らかしながら放尿していたこと。正直、アメリカを旅していると、道端で喚いてるホームレスなんてのはよく見る光景なのだが、露出と放尿というのは、なかなかのレアケースである。

 そんなポートランドからの洗礼を受けつつ、昼食を調達しにポートランド名物のフードカート飯を探してダウンタウンのメインエリアのあるあたりへ向かったが、なぜかフードカートが見つからない。住んでいた頃は1ブロックまるっと囲うようにして賑わっていたフードカートはどこに行ってしまったんだろう。住んでいた当時は毎日のように通っていたエリアだったので、場所を間違えるはずもないのだが、その日は結局見つけることができなかった。

 後日、フードカートのエリアがどうなったか判明。ポートランド在住の知人が案内してくれたのだが、見てびっくり。

 デーン! とそびえ立つこのビルが元フードカートのエリア。そりゃ見つからないワケだ。まさかブロック丸ごとビルになっているなんて夢にも思わず、個人的には先のホームレスよりもこっちの方がある意味衝撃的かも。ちなみに値段はうろ覚えだが、最上階は10億円弱で売り出し中とのこと。

 フードカート以外にも、パンデミックにより移転や廃業に追い込まれてしまったお店も多かった。閉店したにもかかわらず、いまだにグーグルマップ上で情報が更新されていないお店も多く、実際に行ってみたらやっていなかったなんてことも度々あった。当時流行っていたお店やお気に入りだったお店がなくなってしまうのは、住んでいた身としてはとても悲しい。

ポートランドメイドで人気のレザーブランド〈タナーグッズ〉も2店舗あった実店舗を全て畳み、いまはオンラインのみでの販売となっている。

都市部のいちばん大きなショッピングモール「ロイドセンター」もほとんどの店舗が撤退し、閑古鳥が鳴いていた。

 地元のひといわく、これでもかなり活気が戻ってきているとのこと。パンデミック中は本当にゴーストタウンと化していたらしい。たった数年でひとつの街がここまで変わってしまうという事実に、いろいろと考えさせられてしまった。ただ、百聞は一見にしかずとはまさにこのことで、実際に自分の目と足で見ることができて良かった。

UPDATE BLOG

ブログトップもっと見る