CLOSE
BLOG - 渋井勇一(RASSLIN'&CO.代表 / Mountain Martial Artsディレクター)

7月の出来事(参議院選挙を振り返る)

7月のビッグイベントと言えば、国政選挙の参院選。投票前にブログを書こうと思ったのだが挫折してしまった。。。

ということで、選挙結果から考えられるいくつかの項目について振り返ってみようと思う。

今回の参院選は物価高騰やコロナ禍の影響による経済対策が争点となった。その経済対策で与党と野党で主張が真っ向対立したのが「消費税」。与党は消費税を減税することはないと言い切り、野党は減税、もしくは廃止。その結果、与党が圧勝した。

日本人はどれだけ納税したいんだよ!

と思わずにはいられない。

消費税に関して経済素人のぼくの知識で書くと、与党は「消費税は社会保障費に使う」と主張。そのため減税しないと言っているが、実際には消費税は所得税や法人税と同じ一般財源としてすべての歳出予算に充てられる税金なので、消費税収が増えたからといって、社会保障費が下がるわけではない。

その証拠に、2021年度の税収は67兆円で過去最高。所得税、法人税と共に消費税も増加したが、社会保障費を下げようという話はまったく出てこない。そもそも消費税率は上がっているのに、国民健康保険は下がるどころか上がり、高齢者医療費負担も2割に増え、国民年金支給額は減るという。

与党に投票しているみなさん、騙されているのでは、、、

考えてもみてほしい。消費税を廃止すれば、世の中のすべてのモノが10% OFFになる。それだけで一気に景気が上向き、経済問題の解消にプラスになることは経済素人のぼくでも予想できる。

それでも与党が消費税減税どころか増税していきたいのは、財務省がプライマリーバランスに固執しているからだ。つまり、日本には「緊縮財政=贅沢を我慢して納税します」が根付いている。

※なぜプライマリーバランスにこだわるか謎だったのだが、知人の長谷川さん(維新の会党員)によると、戦後GHQが作った財政法で定められているかららしい。戦後日本経済の根底にある財政法が、今は国民を苦しめている。

一般的に
「プライマリーバランスにこだわる=緊縮財政」
「プライマリーバランスにこだわらず財政出動=積極財政」
と言われる。

積極財政はMMT(現代貨幣理論)をベースにした「自国通貨を持つ国はデフォルトしない(いくらでも刷ればよいので)」という経済対策案で、安倍政権時代に内閣官房参与を務めていた京都大学藤井聡先生の提案により近年注目を集めている。昨年の自民党総裁選では藤井先生が支持する高市早苗議員が積極財政をアピール。総裁選では敗北したが、自民党内でも緊縮財政派と積極財政派が分かれていることが窺えた。

そして、野党で積極財政といえばれいわ新撰組。面白いのは、野党支持のリベラル派の中でも積極財政(れいわ新撰組)に否定的な人が少なくない。リベラル派は政治信条へのこだわりは強いが、経済には保守的な印象がある。

ぼくは積極財政派だが、現実的な問題がないわけではない。しかし、日本が「失われた30年(平均賃金も上がらず成長率で他国においてけぼり)」だったことを考えれば、緊縮財政ではもう経済成長は望めないことは歴史が証明している。

さて、話を参院選に戻せば、安倍元総理が銃撃により死去するという政治史に残る大事件が起こった。事件自体はあってはならないことだが、浮き彫りになったのが自民党と旧統一教会の関係。

個人的には故・安倍氏が統一教会に全面的に賛同していたとは思わないが、票田のために手を組んでいたことは間違いない。第二次安倍政権時に急接近し、安倍派(清和会)の多くの議員が旧統一教会と関係があったことが報道されている。愛国・保守主義を推進し、シンボルだった故・安倍氏が、韓国生まれの旧統一教会と関係があったことを、保守派の方々はどう消化するのだろうか。

参院選に関する報道で印象的だったのが、amazon music「JAM THE WORLD UP CLOSE」青木理氏の回のゲスト、毎日新聞論説委員の佐藤千矢子さんの「岸田さんはみんなが思うほどリベラルではなく、安倍さんはみんなが思うほど保守ではない」という一言。

上記のような経済面や政治面から考えられることは、もう「保守」「リベラル」、「右翼」「左翼」といった対立の構図や二元論では判断できないほど、社会は複雑になっているということ。国民ひとりひとりが政治や社会問題に対して丁寧に向き合い、真っ当な主張や政治信条を持つ政治家や政党を支持していかなければならない。

しかし、政治家や官僚以上に日本の未来を握っている人々がいる。

2022年参議院選挙、投票率。

52.05%(戦後4番目の低さ)

有権者数約1億人のうち、約半分の4800万人の人たちが社会参加を拒み、日本の将来を考えることを放棄した。

県別の投票率を見てみると、とても興味深い。1位は山形県(62%)、2位は長野県(58%)。共に一人区で、野党候補が与党候補を破っている。

投票率が高ければ、与党圧勝の結果が変わったかもしれないのだ。

そしてもうひとつ明らかになったのが、地上波テレビメディアの劣化。選挙前の報道は少なく、選挙速報の番組は本当にひどい内容で見るに堪えない(見なかった)。ただ、そうした地上波メディアでしか情報を得ない人々や、美味しいレストランや好きなアイドルなどは積極的にネットで調べるのに、政治や社会問題に関してはまったく調べない人々がいるのも事実。

「選挙なんて行ったって、変わる実感ないから」

そりゃ行動しなければ何も変わらないよ。

国民が主権であることを放棄して、口を開けてエサを待つような有権者たちが担う日本の未来はどうなるのだろうか。

と、感じた参院選でした。

▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲

UPDATE BLOG

ブログトップもっと見る