CLOSE

海外に行けなくなって久しい

コロナ禍以前、多くても年に3〜4回程度しか行っていなかったが、

そんな自分ですら海外を恋しく思う

 

『本物』とは

 

とある国に行った時のこと

その国自体は確か3回目で、その時はアウターやダウンの縫製工場視察とサンプル依頼が目的

広大な土地に建てられた綺麗な工場 整理整頓された資材 ダーッと並ぶ何千台ものミシン

工員さん達は清潔な制服を着ていて、髪の毛を全て覆うような帽子を被り、マニキュアやお化粧は禁止(口紅をしてきた女性工員さんが、ライン長らしい人に酷く叱られていた)

そのように徹底された、大きく広い工場内

ノース◯⚪︎イスやアデ⚪︎◯スの生産ラインを見た後、

ふと隣の小規模ラインを覗いてみると プ◯ダのダウンを縫っていて、おおぉこんな超高級品も縫っていて凄いなぁと感心していたら

更に隣の大規模ラインではユ◯◯ロのダウンが縫われていて本当に驚いた

しかもユ◯○ロは、卵のパックみたいな入れ物に緩衝材を敷き詰め、その1つの窪みに対して

ドット釦を1つ入れ、釦に傷がつかないようにと徹底して管理されていた

 

この後、それぞれのメーカーの工賃なども聞き驚愕するわけだが…….

 

『もしサンプル作るなら資材市場も良いですよ』と通訳さんが提案してくれて、予定に無かった市場へと向かった

 

どこの国にも市場はあるし、それなりに市場には行った事があるし、世界的に有名な広州の市場などにも訪れた経験があるのだが、その国のそれは、同じようで違っていた

 

ずらーっと並んだ反物のお店 ファスナー屋さん 釦屋さん ネーム屋さん などなど

何が他の国の市場と違うか?と言うと、なんと並んでいるパーツ商品のほとんどがメーカーの正規品なのだ

 

工場払下げ品と言えばまだ響きは良いのだろうが、それぞれのパーツ生産工場がメーカーに内緒で余りを市場に勝手に流しているようだった

 

生地も付属もパターンも本物で、パーツだけでは無く、それを組み合わせた製品も売っている

組み合わせがメチャクチャだったりするから、まだ偽物感がある製品が多いのだが、どう見ても本物に見える製品もあって、なんだか複雑な居ても立っても居られないような気持ちになった

 

本物って何なんだろう

 

呆然としている自分に

どう見ても本物のリー◯イスの偽物を穿いた通訳さんが得意げな顔をして言った

『クオリティーは間違いないよ 値段も正規の物の1/5 同じ物なのに何故5倍もお金出して高い物を買うのか私には本当に理解できないよ』 

 

 

コピー商品を見かけるたびに、あの市場を思い出す

まだあるのかな?さすがにもう摘発されたのだろうか?

 

MONOとして何が本物かは人それぞれで、その人自身が判断すれば良いのだろうし、

サステナブルを謳い文句にする一部の大企業への違和感を感じられずにはいられないけれども、

それでもやっぱり

『でもこれは行為としては偽物でしょ?』

ってあの時の通訳さんにいつか伝えたいと思っている

 

 

追伸 これは本物です

 

 

 

 

UPDATE BLOG

ブログトップもっと見る