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BLOG - 渋井勇一(RASSLIN'&CO.代表 / Mountain Martial Artsディレクター)

メタバースとNFTから見えるジェネレーションギャップ

最近、世間を騒がせている「メタバース」と「NFT」。

詳しい説明はググれば見つかりますので、詳しく知りたい方はそちらで。

さて、「メタバース」とは、簡単に言えばインターネット上の仮想世界で、オンラインモールやバーチャルイベント、VRゲームなど次世代の新ビジネスと言われている。

今でこそ「仮想世界」という言葉で伝わる概念だけど、ぼくの原体験は1990年代に遡る。ひとつはみなさんご存じの、1999年公開の映画「マトリックス」。機械に支配された人類は「マトリックス」という仮想世界で生きていて、現実(リアルワールド)ではカプセルの中で電力を生むために培養されているという。

そしてもうひとつが貞子で有名な「リング」三部作の小説(原作)の完結編「ループ」。こちらは映画化されていないのでご存じない方が多いと思うけど、「リング」「らせん」の物語は「ループ」という仮想世界での出来事で、貞子はバグ(ウイルス)だったという衝撃の展開。1998年に刊行された。

正直にいえば、最初は「マトリックス」も「ループ」もよくわからなかった。その時点で世の中に「仮想世界」という概念が浸透していなかったから。でも理解すると、1998年、1999年とほぼ同じ時期に、日本とアメリカから「仮想世界」の物語が生まれたことにぼくはブっとんだ。世の中の概念が変わると。

そして、前社に勤めていた2003-4年頃だっただろうか。「セカンドライフ」というビジネスの商談に参加したことがある。記憶にある方もいると思うけど「セカンドライフ」はアメリカ発の「インターネット上の仮想世界でアバターが生活する」というプラットフォームビジネス。大手代理店がプッシュしていたこともありメディアにも多く取り上げられ、ちょっとしたブームになっていた。

これ、まさにメタバース。20年前にメタバースの概念はすでにビジネス化されていて、ぼくがメタバースを初めて聞いた時は「セカンドライフじゃないの?」と思ったくらい。

ただ、マーケットがついていけなかったし、技術的な問題もあったのだろう。提供側の意欲ほどに広がることはなかった。調べると今も存在するらしいのだが、一部のマニア向けビジネスの域を出なかったようだ。

そして先日もLINEが参入するということで話題になっていた「NFT」。「偽造不可な鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータ」のことで、いくらでも複製可能だったデジタルデータに資産価値がつくことで盛り上がってきた。

本音を言えば。

メタバースもNFTも興味がない。メタバースをやる時間があれば、現実世界でやらなければならないことが山積みだし、まだまだ実現できていない夢もある(これはもちろん実現可能と自分で位置付けている)。

NFTに至っては、証明書がついたとしても、デジタルデータを所有する喜びがいまいちよくわからない。スニーカーだったらAJ1にジョーダンのサイン入りだったら最高だろう。村上隆さんだってデジタルデータよりシルクスクリーンが欲しいよ。モノだよ、モノ。

というのは、昭和の価値観なのである。

社会学者の宮台真司先生が「子供たちとマトリックスを見ていて、自分は主人公たちがリアルワールドを選択することに違和感がないが、子供たちは汚いリアルワールドよりマトリックスがいいと言っていた」というメタバースに関わる話をされていた。

賛否両論あるマトリックスの新作「マトリックスレザレクションズ」がいま作られる意味のひとつもそこにあると思った。新しい映像表現もなければストーリーもキレがない蛇足作品のようだが、「今は現実より仮想世界を選ぶ人が多くなった」というメッセージがある。

ぼくが20年前に感じた「世の中の概念が変わる」という衝撃が、本当にやってきたのだ。

ぼくはいつも「既成概念や旧態依然とした価値観に縛られるな」と思いながら生きてきた。そんな自分が既成概念にとらわれた旧態依然とした存在になろうとしている。時代は動いている。

いま、ぼくがメタバースやNFTをビジネスにすることはない。でも、そうした価値観の変化により社会が変わっていくことは理解しておかなければならない。

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