BLOG - 蔡 俊行(フイナム発行人)

美容は苦行

 普段スキンケアということを一切しないできた。保湿クリームをつけるようになったさえほんの最近で、若い頃から日焼け止めも何も塗ることはなかった。もちろん髪の毛にクリームやオイルを塗りたくることもない。ナチュラル。生まれたまま姿。そういう人生だ。

 しかしこのところ気になるところが出てきた。首元に極小の突起が十数個目立つようになってきたのだ。ほくろではない。円錐形といえばいいのかトンガってるのである。調べてみるとどうやら「老人性イボ」というらしい。なんかムカつくネーミングである。

 これまでなら別に気にもしないのだが、さすがにこれは放っておくと大きくなりそうだ。そうなると処置も大変そうと思い妻に相談したところ、某美容クリニックを紹介してくれた。とても良い先生で信頼できると。

 そこで昨日、南青山の某所に赴いた。

 入り口からして圧倒された。自分のようなヨレたヒッピーのくるところではない。

 しかしアポイントしてくれた妻の手前、逃げ出すことはできない。おずおずと入っていく。他患者さんがいませんように。幸い誰もいない。

 受付を済ませ、予定のカウンセリングに進む。今日はカウンセリングだけで処置は別の日に予約してある。

 先生によるとぼくのイボは、加齢に加え、日焼けと衣服による擦れが原因でよくあることらしい。そのまま放置すると大きくなるというより長く伸びてくるという。顔のどこかの皮膚が紐のようにビヨーンの伸びてるおじいちゃんとかいるでしょうなどと説明してくれた。

 ぼくのイボは比較的小さくて、レーザーなんぞは使わなくてもハサミで切り取れるという。なんならもう今日ここでやっちゃいますかって、いやいや心の準備が。

 というわけで昨日、そのままそこで15個ほどイボを小さな医療用のハサミで切り落としてきた。これが結構痛い。そして血も出る。取り除いた患部に軟膏を塗り、注射後に付けてくれるような小さな絆創膏を貼って処置は終了。その間ほんの10分くらい。しかしどっと疲れた。

 このクリニックは、美容整形も行っている。ここを訪れる人々は、日夜こんな処置が朝飯前なオペにチャレンジしているのだろう。美容は苦行であり修行であるなということを思い知ることができた一日であった。

 

 

 

 

 

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