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なにを隠そう20代のモリヤマは(もとがカジュアルウェア大好きなひとなので)白いシャツが苦手でした。

学生服みたいだし糊がパリッときいた白ブロードのシャツなんてどうやって着こなしたらいいか皆目見当つきませんでした。

 

仕事でスーツを着なくてはいけない業種でもないしオシャレで背伸びしてスーツを買ったりジャケットを着たりは当然しましたが、あわせるシャツは色物か柄物ばかり。当然ブルーやピンク、時には黄色などイロモノだったり(「坊ちゃん」の登場人物赤シャツってわたしみたいな人だったんだなといつも思い出します)、ストライプとかタッターソールとかギンガムチェックとかそんなシャツばかりクローゼットにあります。

おとなになっていい生地のブロードの白シャツを洗いざらしで着るというテクを身に付けるまでは10年くらいを要したかも(^^ゞ

そんな柄シャツの中でもストライプはその豊富なバリエーションで無限に増えましたが、ある時(たぶん白シャツのありがたさに気付いたあたりから)急に色目がうるさい気がしてストライプどころかチェックのシャツにも手が伸びなくなったんです。

おじさんになってだんだんベージュやブラウン系のスーツに偏りだしてシャツに(特に濃い)色の要素はいらないかなって思ってたんだと思います。

 

それでもいつも白シャツというのも飽きが来ます。

そんなときにあったら良いのにと思いだしたのが白場が多めのストライプ。

ロンドンストライプみたいにトラディショナルな柄なので決して珍しいストライプではないのですが、意外に弊社のラインナップなどを探してみても見つからない(最近売っていない)ことに気付いてこの春夏のDistrictのシャツを計画する段階で生地をリクエストしました。

若い飯島さんや長倉さん、小林さんにも賛同頂いて…。

色と白場の間隔が等間隔のロンドンストライプよりもちょっとだけ白シャツ寄りのコーディネートで楽しめます。

ブルーなら当然ですが赤ストライプもトラッドな印象こそありますが色に引っ張られない…あまりいやらしさ感じないとおもいます。特殊なストライプでもないのでいろいろ調べましたが特に名称はないみたい…近いといえばペンシルストライプですが、そこまで線が細いわけでもない…。

…ので、便宜的にモリヤマストライプとでも言っときましょうか(^^ゞ

 

柄だけではなくボディにもちょっとわたしのアイデアを採用してもらいました。

エディ・スリマンやトム・ブラウン以降タイトフィットの流れはドレス市場にも影響を与えてスーツやシャツもみんなタイトに小さめになりました。もちろんわたしもトレンドとしてそれらを推進した側のひとりですが、あくまで一過性の”トレンド”だったと今では思っています。

反動で起こったビッグシルエットのトレンドともちょっと違ってわたしが若いころに着ていた30年くらい前のバランスがいま一番着たいバランス。そしてトラディショナルなフィッティングだと50~60年代のジェントルマンのスナップを見ても気付かされます。

 

上の写真はユナイテッドアローズが原宿に本店を構えた90年代頭にジョンロブなどと一緒に取り扱っていた英国のシャツテイラー・ヒルディッチ&キー(以降H&K ヘッケラー&コッホとは読まず(^^ゞ)社のダブルカフス。

インポートでUAで買うよりも直接取りよせた方が割安だったので本国にFAXで自分のネックサイズと裄丈でオーダーして買っていたうちの一枚です。

 

あくまでインする(そして裾が飛び出さないように)前提で極端に長い着丈が特徴です。昔はこの裾がトランクス的な下着の役割も果たしていました。

昨年までのDistrictのシャツと比べた時に、H&Kの身幅はゆったりブラウジングできるくらい大きいのに脇から胸、肩にかけてグッと内側にアームホールが入って前胸や肩幅は意外にすっきりしたパターンなのに気付き、オリジナルでも同じようなパターンに修正してもらったのが今回です。

ヨークがスプリットヨークなのも2000年オープンのDistrictの歴史の中でも珍しいディテールです。

2プリーツのパンツをへそ履きしてブラウジング。それでも肩や胸回りにはだらしなさがない。そんなバランスがクラシックフィットだと。

 

今週の金曜日に発売します。わたしも2色買いしようと思います。

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