突然だが、先ほど鳥羽さんが更新されていた「SNSやめました。」に激しく同意した。
(鳥羽さん、まったく面識がないにも関わらず突然の失礼をお許しください)
かくいう私もInstagramはアカウントを持ちつつも、ここ数年それを取り巻く環境をずっと疑問視していて(何人かの親しい友人とは会うと必ず話すトピックでもある)、1月から更新をやめた。
しばらくアプリ自体も開いていない。アカウントこそ消していないが、SNSで繋がらなくても連絡を取りたい人とは電話もするし、メールもするし、当然ながら会う約束をする。約束をしなくても会いたい人に偶然会うことができることもあるし、ふらっと会いに行くこともあるし、その逆も然り。その時のうれしさは格別である。私にはこの方が合っていると、ここ3ヶ月ほどで強く感じている。自分との相性の問題である。
このブログを始めようと思ったのも、ちょうど更新をやめたタイミングで偶然にも編集部の方からお話をいただき、流れる発信ではなく、わざわざアクセスをしなければ見られない文章を書き続けることに再び興味を持ったからだ。再びというのは、14年以上前にも気ままにブログを書いていたからである。
前置きが大変長くなってしまった。
日々刻々と変わる状況の中、まわりの方が様々な形で奮闘している姿を見て私自身とても前向きになれることがたくさんある(もちろん医療現場の最前線で働く友人たちにもだ)。ピンチの時にこそ、その人の本質がみえてくると思う。取り繕っていたものはいとも簡単に、剥がれてしまう。
親交のある2つのお花屋さんが始めた取り組みについて紹介したい。
まずは、外苑前でギャラリースペースを併設する花屋を営むVOICE。
オーナーの香内さんを私に紹介してくれたのはduftの若井ちえみちゃん(道産子仲間でもある)だ。以来、撮影でスタイリングをお願いしたり、Magazine isn’t dead.のエキシビジョンをさせてもらったりといつも本当にお世話になっている。
外出自粛要請が出る中でお店を開けることについて悩んでいたようで、そこで始めたのがアソートボックスの配送サービス。ブーケを届けるのではなく、切り花と読み物(大変恐縮だが昨年展示をさせてもらった際に私が作成したタブロイド紙も含まれる)と今後の来店時に使用できるお花の引き換えチケットがつく、というユニークなものだ。昨今、花のサブスクリプションについての話題も聞くが、それとは一線を画す。店主の強い意志が感じられる取り組みで、私は好きだ。
ちなみに上の写真の瓶は、オロナミンCの瓶とのこと。インテリア業界出身の香内さんの手にかかれば身近なものがあっという間に変身。香内マジックである。笑
こちらに詳細があるので、興味を持った方がいらしたらぜひアクセスしていただきたい。
そして、先述したduft(余談だが、私はこのリンク先のモノクロのページからカラーになる瞬間がduftらしくてとても好き)も「自宅の花瓶にあわせたduftの季節のお花パック」というサービスを開始した。
私はここ数年、大切な人に渡すお花は基本的にduftでお願いしている。ちえみちゃんを信頼しているから。なぜ彼女にそこまでの信頼を置いているのかというと、人を思う素晴らしさに尽きる。花を買いに来た人がどんな人にどういう状況で渡すのか、いつも本当に親身になってくれる。当たり前のことかもしれないが、そういうやり取りがとても心地よいのだ。
以前こんなことがあった。duftでちえみちゃんとお喋りしていたら学生と思しき女子数名が入ってきた。送別の品として花を渡したいらしい。「500円〜1,000円くらいで小さなブーケのようなものはできないですか?」とその中の一人は言った。duftに行ったことがある方なら想像できるかもしれないが、少し変わった種類の花を多く扱っているため、残念ながらその値段では難しい。あいにく事情を説明した上でお断りしたのだが、それだけで終わらないのがちえみちゃんの素晴らしさだ。どういうことか。「うちでは難しいけど、ここから一番近いところだと〇〇さんだったらできるかもしれない。でも日曜のこの時間だから閉店もう少しかも。あとは〇〇とか。見つかるといいですね!」と彼女たちに言った。人のその先にいる人のことを常に思う。これは簡単にできることではない。心底感動したエピソードだ。
そんなちえみちゃんが日々発信する言葉にも、勇気づけられている。しばらくお店に行けていないし、会えていないけど、もうしばしじっとしていようと思う。
花の彩りは、いつもの風景を変えると思う。私自身独立してから自宅での仕事が中心なので、何か変化をつけたくて、花を常に飾るようになった。飾ると言ってもたいそうなものではなく、コップを使ったり、空き瓶を使ったり。家のあらゆる場所に花を置くようになった。毎朝起きてまずやることは水を変える作業。スイッチを入れるきっかけにもなっている。
いつもそばにいてくれる花たちと、その花を届けてくれる花屋という仕事を心から尊敬しているし、これからもずっと応援したいと思う。