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BLOG - 高山かおり(Magazine isn’t dead. 主宰/ライター)

“捨てられない”愛読書

10月15日発売の雑誌『Pen』にて、捨てられない愛読書を紹介しました。

私は、新刊も発売前に図書館で予約するくらい図書館の超ヘビーユーザーなので、今手元にあるすべてのものがこれからも生涯をともに過ごしていきたい本たちです。そのため、この企画のお話をいただいたときにどれを紹介しようか迷ったのですが、中学時代から大好きな角田光代さんの『口紅のとき』を選びました。

今号の「人生に必要なのは、心に響く本。」というコピー。コロナ禍によって時間がより増えたからこそ、私自身今まで以上に本や雑誌を読む時間が増えました。デジタル全盛の時代だからこそ、紙をめくって思考するという古いメディアの効能をじわじわと感じ、本と雑誌が自分の人生において絶対に欠かせないものなのだと再認識しました。

特集の冒頭に朝井リョウさんが「時間をかけてでも本を読む意義とは、なんだろうか?」と綴っていますが、その中でご自身が感じた読書の意義について、具体例を挙げて紹介しながらこう語っています。

 本を開く、それは、自分とは違う誰かの視点でこの世界をのぞきに行くこと。たくさんの思考のスイッチをもつことは、今後さらに社会が変わっていく中で、より大切になってくるだろうと感じている。(本文より一部抜粋)

思考のスイッチ。それは、ネット検索ですぐにたどり着く答えではなく、時間をかけて本を読むことで血となり肉となったものこそがそうなりうるのだと思うのです。効率を優先させる必要がある時ももちろんありますが、効率を度外視した無駄とも思える遠回りにこそ宝が隠されているような気がしてなりません。この冒頭の寄稿、ぜひ多くの方の目に触れてほしいなと強く思いました。

そんな風に心に響くたくさんの言葉たち(そして錚々たる面々の方たちとも)と並列しながら紹介させてもらえたことに恐縮しつつも、本当にありがたいお声がけをいただき、特に思い入れのある雑誌の一つとなりました。

声をかけてくださったライターの一ノ瀬伸さんに心より感謝申し上げます。ちなみに、一ノ瀬さんが私を知るきっかけとなったのは昨年私が聞き手として参加した、『SAUNTER Magazine』のイベントとのこと。1年以上経ってからこうしてお声がけをいただくことになり、ここでも紙の効能を体感した次第です。

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