いま上映中の狂気のフェスティバル・スリラー『ミッドサマー』、もう観ました?
『ムーンライト』『エクス・マキナ』『複製された男』『レディ・バード』『フロリダ・プロジェクト』『ア・ゴースト・ストーリー』、そして『ミッドサマー』。
この数年で話題になったこれらの映画に共通していることは何か。
その答えは、同じ製作会社による作品であることです。
そして、ついに校了を迎えた『フイナム・アンプラグド vol.11』。
次号のテーマは「してはいけないこと、しよう」です。はい、耳にタコができるくらい連呼しますよ。
今回自分が担当したのは、食、クルマ、アートの企画。それぞれ「してはいけないこと、しよう」に紐づけて考えるとこんなイメージ。
食:カロリーなんて気にしない。好きなときに好きなものを好きなだけ食べる!
クルマ:エコ? ハイブリッド? 燃費? そんなの関係ない。クルマ選びは見た目で選びたい。
アート:”これはアート作品”と言ってしまえば、してはいけないことはクリアできる(のか)。
どのページにも共通していることは何か。
それは、みんな発信の仕方こそ違えど、それぞれ”してはいけないこと”の基準を持っていて、その上でライフスタイルが形づくられていること。”ひとと同じじゃおもしろくない”という考え方にも近いのかもしれません。”してはいけないこと”をやった先に新しい発見があるとか、”してはいけないこと”も毎日コツコツやり続けると”していいこと”になるとか。
これは先ほどお伝えした映画会社も同じ。
会社名は「A24」。ニューヨークを拠点にしている映画スタジオです。ハーモニー・コリンの『スプリング・ブレイカーズ』、ソフィア・コッポラの『ブリングリング』など、創業当初から一貫して作家性のある作品を手がけてきた「A24」が広く世に知られるようになったきっかけは、2016年のアカデミー賞。『ルーム』ブリー・ラーソンの主演女優賞、『エクス・マキナ』の視覚効果賞、『AMY エイミー』の長編ドキュメンタリー映画賞の3冠を達成。そしてその翌年には、『ムーンライト』が作品賞を受賞。2018年、アップルが「Apple TV+」のオリジナル作品をつくるためのパートナーとして選んだ映画スタジオも「A24」でした。
他とは違うやり方を追求し続けた結果、生まれた作品の数々。他の会社が同じようにできることならやらずに、まだ世界が発見していない新たな才能を見つけ出して、世界クラスの監督にも敬意をもっていつもとは違った方法を求めること。そうしていまや世界を代表する映画会社のひとつになった。
最初は正直戸惑っていた「してはいけないこと、しよう」というテーマ。
いまは新しい視点を持ててなんだか嬉しい気持ちでいっぱいです。
というわけで、今週末は『ミッドサマー』を観に行こう思います。
編集・中田