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BLOG - TATSUO HINO(メディア / ファッションコンサルタント)

語られていない黒人のファッションへの脈略 @サマーセットハウス、ロンドン

ロンドンファッションウィーク中に必見の展示がロンドン、サマーセットハウスで始まった。英題は『THE MISSING THREAD: UNTOLD STORIES OF BLACK BRITISH FASHION』=語られていない黒人のファッションへの脈略とストーリー。ロンドンファッションウィーク、そしてロンドンデザインフェスティバルと街あげのイベントが続いている。

Eileen Perrier, Untitled 1, Afro Hair and Beauty 1998 © Eileen Perrier

年末までに気になるアート/写真展が3つある。その一つ目がこの展示になる。イギリスにおいて、黒人や有色人種がファッションやカルチャーにどのような影響を与えてきたか?を紐解く内容になっており今まであまり知られていないストーリーを紹介、展示した内容となっている。

仕掛け人の一人は、友人のHarris Elliot(ハリス•エリオット氏)であり、以前同会場で『The Return of the Rudeboy』を2014年にキュレーションした人物。この展示会は2015年にラフォーレ原宿でも開催され、訪れ記憶に残っている人も多いのではないだろうか?

Three ladies picking out different colours of nail polish in a shop, U.K.

ご存知の通り、有色人種の権利やブラックライブズマターなど世界的にも節目となった動きの流れを汲んだ打ち出しが多様なジャンルでよく昨今見受けられるのは非常に嬉しい。ロンドンに住む日本人として、さまざまな人種や文化が入りみだっているところはこの街の魅力である。

展示内容は、70年代から今に至るまで英黒人がファッション、デザイン、ミュージック、コンテンポラリーカルチャーに及ぼしてきた節目を人やムーブメント、文献や洋服、写真、動画などを介して総括的に時系列をおいながら網羅する非常に濃い内容になっている。

Coxsone Outernational Sound System L-R Festus, Blacker Dread and Bikey Dread

4つの柱から構成されており『HOME』『TAILORING』『PERFORMANCE』『NIGHTLIFE』のカテゴリーで、ファッションがテーマではあるがそれを単一的に捉えるのではなく、イギリスの政治/社会的な変遷や脈略と交差しながらそれぞれの時代の若者やメインカルチャーにどのような影響があったのか?そして次時代へ影響を及ぼしてきたのかを紹介する内容となっている。

Joe Casely-Hayford, I-D Magazine #102, March 1992 The Technology Issue. Photo by Takashi Homma

Archive Joe Casely-Hayford SS1999. Courtesy of Maria Casely-Hayford

圧巻だったのは故デザイナー、ジョー•ケイスリー•ヘイフォード氏のアーカイブルーム。黒人やアジア人への人種差別がどのように彼ら独自のカルチャー、スタイルを形成してきたのか?

写真家Pogus Caesarが撮影をした有色人種と警察とのテンションから引き起こされた1985年のHansworth暴動 、有色人種の中でゲイムーブメント、グライムやダブステップなどの黒人が率先した音楽シーンとそのスタイル、そして現代のサウスロンドンジャズシーンなど特に90年代の黒人スタイルをドキュメントしたCynthia Lawrence-Johnのポートレート集、The Mighty Ruler サウンドエンジニア/セレクターのレトロサウンドシステムとそれを取り巻くストリートスタイルなど内容満載の展示になっている。

Vanley Burke, Young Men on See-Saw, Handsworth Park, Birmingham, 1984 © Vanley Burke

イギリスはユースカルチャーの国。ミュージック、アンダーグラウンド、ナイトカルチャーからうまれる潮流がメインストリームへ移行し一つの大きな流れとなる。会期は、翌年1月7日まで、必見間違いないです。

展示会名:THE MISSING THREAD: UNTOLD STORIES OF BLACK BRITISH FASHION

場所:サマーセットハウス

会期:2023年9月21日〜2024年1月7日

 

 

 

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