エディターズレターを読むのが好きだ。
雑誌の冒頭などに編集長が綴る、アレである。
今年に入って特に心を掴まれたのは、1月に発売した『暮しの手帖』だった。「丁寧な暮らしではなくても」と表紙に持ってきたことに驚いたし、相当な覚悟の上で選んだ言葉であったことは想像していた。なぜこの言葉をいま選んだのかということについて、澤田さんから編集長という役目を引き継いだ北川さんが綴っていてとても共感したし、その姿勢にいたく感動した。『暮しの手帖』がさらに好きになった。
また、大抵の雑誌ではコンテンツが始まる前に挨拶文のようにあるが、『暮しの手帖』ではページをめくり続けたずっと先にある。そのさりげなさも、個人的にはとても気に入っている。
そして先日。昨年3月にたった1人で雑誌『VOSTOK』を創刊させた大城さんから、3号目がもう少しで完成します、と連絡をもらったので会いに行った。(注:3/24現在 3号目はすでに発売しております)やはりここでもじっくりと読むのはエディターズレターである。
創刊号も力強さを感じる文章だったが、今号はより熱を帯びていた。と同時に内容に大きく頷いた。それは現代社会への大城さんなりの問題提起であり、いま雑誌をつくることに対しての覚悟を示したもののように感じられた。すべてつくり終えてから一気に書いたらしい。「これでもマイルドにしたんです」と言ったので、修正前のものが見たくて原稿を見せていただいた。確かにストレートな表現が所々カットされていた。編集後に書き上げたその瞬間の思いを閉じ込めた文章が誰にも読まれないなんて、と思った私はこう言った。「メールマガジンで読者に配信してもいいですか?」と。
ということで、Magazine isn’t dead.で過去に『VOSTOK』を購入してくださった方でメールマガジンの配信を希望されている、ほんのひと握りのお客さまへテキストを配信したのが先週。予想の通り、すぐに反響をいただいた。(本当にありがとうございます)長文だったが丁寧に読んでくださり、きっと多くの方が同じ思いを抱いたのだろうと想像した。そしてつい先ほど。購入してくださった方から感想がメールで届いた。「エディターズレターに心を動かされました」とはじまりの一文に記されていた。
編集者の意志が雑誌を通して読者へ伝わり、読者の心が揺れる瞬間を垣間見られることが本当にうれしい。そして、そんな読者の声を編集者に直接届けられることも。読んでくれる方、応援してくれる方の存在がつくり手にとってどれだけ心強いのかを、Magazine isn’t dead.を始めてからより感じている。