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BLOG - 岡田哲哉(グローブスペックス 代表)

米国東海岸滞在記 〜 その1:Brimfield 〜

NYの「JFK空港」に到着。

NYの「JFK空港」に到着。

3月に続いて、再び米国に行ってきました。

今回の訪米には3つの目的があります。一つはアメリカ最大のフリーマーケット「Brimfield」を初めて訪ねること。二つ目は3月のNY訪問時に完遂できなかったスケジュールをこなすことと、今後の店づくりのためのインスピレーションを得ること。3つ目はコロナ禍前以来、4年ぶりとなるNYのアップステート訪問です。

非常に面白い出張になったので3回に分けてお届けします。今回は「グローブスペックス渋谷店」のスタッフである高久君が同行しました。今、「グローブスペックス」では順番に若手のホープたちを海外出張に同行させ、インスピレーションを養い、私の海外での動き方やネットワークなどを学んでもらうようにしているんです。

アメリカ最大のフリーマーケット「Brimfield」は、前々からその面白さや醍醐味を聞いており、日米アンティークショップのオーナーたちやファッション業界の方々からも行くことを勧められていました。昨年から計画し始め、ついに実行することができました。「Brimfield」は最高でした!

道の両側に広がる草原に無数のテント店舗が張り巡らされ、それがずっと数キロ先まで続いています。

道の両側に広がる草原に無数のテント店舗が張り巡らされ、それがずっと数キロ先まで続いています。

道の両側に広がる草原に無数のテント店舗が張り巡らされ、それがずっと数キロ先まで続いています。

初めての「Brimfield」訪問に際し、アメリカのアンティークショップバイヤーなどから、非常に規模が大きく何キロにも渡って展開されているので回るコツがあると聞いていました。日本でおそらく一番多く「Brimfield」を訪ねているビンテージショップのオーナーの方にそのコツをいくつか聞いてから臨むことにしました。

徒歩だと移動だけで消耗してしまうので現地でレンタサイクルを手配した方が良いこと。雨が多いシーズンなので、雨具や土の会場でぬかるみでも耐えられる防水性の高い動きやすい靴の準備。会場全体はいくつものMarketに分かれていて、それぞれ開催される曜日や時間が異なることと、駐車場が非常に混み合うので計画的に行動した方が良いことなどです。日本を出る前に訪れる時期の天候や気温も調べて臨みました!

「Brimfield」は米国東海岸マサチューセッツ州内にあり、車でニューヨークからだと約3時間、ボストンからなら2時間弱ですが、「Brimfield」後にNY市内に戻る計画なので「JFK空港」から車を借りて行くことにしました。自転車を積んだり購入したものも積むかもしれないので、車はフルサイズのSUVです。長い距離を運転するにはどっしりと安定しているので安心感もあります!

「Brimfield」近辺からNY市内までの移動を支えてくれた「Ford」のフルサイズSUV。

「Brimfield」近辺からNY市内までの移動を支えてくれた「Ford」のフルサイズSUV。

通常NY市内を抜けると交通の流れはスムーズになることが多いのですが、海沿いのコネチカット州を抜けるルートは意外に混んでいて実際は4時間ほどかかりました。

宿泊はかつて世界最大の眼鏡フレーム、及び、光学機器メーカーであった「American Optical」本社の建物をホテルに改築した施設にしました。「Brimfield」まで車で30分弱なのでロケーション的にもちょうど良かったのです。

かつての「American Optical」社の入り口に立つ高久君。ここは過去に何回か洪水に見舞われたそうで、ロビーにある柱にも過去の洪水で冠水した際の水位が刻まれていました。

かつての「American Optical」社の入り口に立つ高久君。ここは過去に何回か洪水に見舞われたそうで、ロビーにある柱にも過去の洪水で冠水した際の水位が刻まれていました。

自分もこのブランドのビンテージメガネを何本も所有しています。「ルノア」と自分の名前を冠したアイウェアブランド「Gernot Lindner」のデザイナーもかつて「American Optical」のヨーロッパ支社出身です。

「American Optical」は今のアイウェアの世界の祖にあたる存在なのです。

非常に風格と雰囲気のある建物であり、ここに宿泊することも今回の楽しみの一つでした!

マサチューセッツに着いた翌日はまだ「Brimfield」のフリーマーケットは始まっておらず、別会場のテキスタイルショー(古着やビンテージの生地を使ったキルティングなど様々なアイテムを扱う展示会)を覗いた後、レンタサイクルの手配と翌日から始まる「Brimfield」の下調べのために会場に向かう計画でした。

テキスタイルショーの開催会場。

テキスタイルショーの開催会場。

テキスタイルショーには日本からの古着バイヤーも多く訪れており、有名なショップのオーナーも見かけました。入場前の行列でたまたま前に立たれていた方から「あれ、岡田さんですよね!?」と声を掛けられました。「グローブスペックス京都店」をご利用頂いていて、京都のショップを経営されている方でした。世の中狭いですね! 眼鏡屋である我々にとってはどんなものなのか視察のつもりで訪れたショーでしたが、その世界で頑張っている方々にとっては真剣な仕事場なので、かなりの活気と競争の緊張感さえ感じられるショーでした!

偶然お会いした、京都店のお客様であるショップオーナーの方と。

偶然お会いした、京都店のお客様であるショップオーナーの方と。

レンタサイクルに関しては事前に「グーグルマップ」で検索してあったので簡単に借りられると思っていましたが、これがかなり苦労しました! レンタサイクルがある、とマップに書いてあるショップに行ってみると実際はレンタルしていないところがほとんどでした。またはシェア自転車(一定のエリア内のみの利用可能)でした。泊まっているホテルから周囲50km圏内を探し回りましたが、その中の自転車ショップに「初めて『Brimfield』を見て回るのに、自転車が必要なんです!」と話したら「ウチはレンタルをやっていないけれど、確かに『Brimfield』を歩きで回るのは大変だよなぁ…」と言われ、ちょっと考えてから「ウチの新品の自転車を貸してやるよ! 一応、自転車代を仮払いしてもらい、返却時にレンタル代を差し引いて返金するという事でどうだい?」と提案してくれたので、この話に飛びつきました! 気の良いオーナーで助かりました!

そのあと日暮前になんとか「Brimfield」の開催予定地に辿り着きました。会場は確かに広大な場所でした! 自転車がないととても回れなさそうです! かなり広い草原にいくつもマーケット用の区画があり、そこに各ディーラー用のテントでできた仮設店舗が用意してあります。

駐車場用のスペース、あちこちに設置された仮設トイレ、フードカーなど組織的に準備されていて、長年行われてきた一大イベントのノウハウの蓄積が感じられます。おそらく期間外は何もない広大な草原なのだと思います。駐車場など確認して翌日からのスタートに備えることにしました。翌日から始まるマーケットは早いところでは日の出から開催で、会場のオープン直後から駐車場が混み合うからです。日の出前の5時には出発します。

翌日早くから「Brimfield」に出向いて正解でした! 日の出少し前に到着し、その時点では車の駐車も割とスムーズでしたが、明るくなり始めるとあっという間に会場内に点在する駐車場はどこもいっぱい。道路は渋滞していました。

日の出直後から自転車で回り始めた「Brimfield」。日中は半袖で丁度良い暖かさになるものの、この時間帯は4度ほどしかなくハンドルを握る手がかじかむ寒さで、服装の調整も大事でした。

日の出直後から自転車で回り始めた「Brimfield」。日中は半袖で丁度良い暖かさになるものの、この時間帯は4度ほどしかなくハンドルを握る手がかじかむ寒さで、服装の調整も大事でした。

日の出と同時に自転車を使って会場を回り始めました。最初は勝手が分からず事前にベテランのバイヤーの方から得ていた情報を元にくまなく見て回りました。以前、何回かフィラデルフィアのアンティークモールが集まる「Adams Town」を回った際にも大部分はジャンクが並んでおり、時たまお宝がその中から見つかるのですが、疲れてくると目の前のお宝が目に入らなくなってくるので集中力を切らさないエネルギーが必要なんです。しかし、日の出から昼過ぎくらいまで歩き回ってもジャンクばかりで、次第に何も見つからないかもしれないと言う焦燥感が湧いてきました。「Brimfield」初心者であり今回はリサーチで終わるかもしれないという覚悟はしていましたが、せっかく来たからには店のディスプレー用の什器や装飾品くらいは見つけたいとも思っていました。

ポートランドで懇意にしているアンティークショップのバイヤーから「『Brimfield』は素晴らしいお宝が見つかるフリーマーケットだけれど、信頼できるディーラーを知らないと難しいんだよ」と教わっており、こう言うことなのか! と認識しました…。

ある人にとってのジャンク品は別の人のお宝だったりもするので、あらゆるビンテージ品がここにはあります。

ある人にとってのジャンク品は別の人のお宝だったりもするので、あらゆるビンテージ品がここにはあります。

古い検眼レンズセットや19世紀頃のアンティーク眼鏡を扱うディーラーもありました。

古い検眼レンズセットや19世紀頃のアンティーク眼鏡を扱うディーラーもありました。

しかし、午後になってまたリサーチを再開すると、それまで回っていたマーケットとは雰囲気が異なるエリアが見つかり、次第に期待感が高まってきました。そのエリアでついに見つけました! 自分の好みのアイテムがいろいろと並んでいます。「Brimfield」はディーラーによって専門ジャンルがあったり、ディーラーのセレクト眼や感性との相性によって、こちらのセレクトも良し悪しが左右されます。普通のショッピングと同じですね! このディーラーでは装飾品にいくつか良いものが見つかりましたが、少し大きめの什器でもいくつか好みのアイテムがあったので買い付けました。

さらに、このエリアにはセレクトが好みのディーラーが他にもいくつかあり、照明などの買い付けもできました。

買い付けたお宝の一部。ブローチやバッジはスタッフがユニフォームに自分だけのマークを付けるためのもの。

買い付けたお宝の一部。ブローチやバッジはスタッフがユニフォームに自分だけのマークを付けるためのもの。

気に入って買い付けた照明。

気に入って買い付けた照明。

更に歩き続けると予期していなかった出会いがありました。あるディーラーでとてもセンスの良い家具が幾つも並んでいることに気づき、その中をずっと見回すと、とんでもないアイテムを発見しました。値段を確認したところなかなか高額でしたが、ほぼ即決で購入を決めました。

こんなアイテムがあるとは予測していなかったのですが、店の印象やイメージを決定的に良くできる素晴らしいもので嬉しい誤算です! 全体の購入予算も超えていましたが、完全に納得のアイテムでした。あとでNY市内でとある有名ショップオーナーとこのアイテムの話をしていたところ、街中で同アイテムが見つかった場合の相場に対して1/3くらいの価格で買えたことが分かりました!

このアイテムが何であるかは今のところは内緒ですが、近い将来に「グローブスペックス」の店舗に現れます!

なかなか上手なディスプレイです。

なかなか上手なディスプレイです。

「Brimfield」には2日半居て自転車を使って回ったものの、おそらく全体の6〜7割ほどしか見れていないと思います。しかし、今回のトライで色々見て回るコツが分かりました。それでも本当に好みのアイテムが見つかるかどうかはやはり運次第ですね。今回素晴らしいアイテムに出会えたことはビギナーズラックで本当にツイていたと思います!

こんな感じでマーケットの間を自転車で移動してお宝探ししていました。

こんな感じでマーケットの間を自転車で移動してお宝探ししていました。

またお宝がいくつか見つかってから気持ちに余裕ができたので来場者に目を向けてみると、「Brimfield」はディーラーも来場者もかなりユニークなファッションの人が多いです。ニューヨークの街中や日本では見かけないようなビンテージの個性的なアイテムを身につけている人が多く、人に注目して見てもかなり楽しめます。

NY街中などでは見かけない個性的なビンテージファッションの人が多かったです。

NY街中などでは見かけない個性的なビンテージファッションの人が多かったです。

自分のパーソナル用には、デニム・ワーク・ミリタリーの古着の生地を組み合わせたリメイクジャケットを買いました。

自分のパーソナル用には、デニム・ワーク・ミリタリーの古着の生地を組み合わせたリメイクジャケットを買いました。

帰りのドライブは途中コネチカット州の港町でシーフード食べてから、ニューヨークの街へと向かいました。

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