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BLOG - 金子恵治(L'ECHOPPE コンセプター)

BERNARD ZINS L’1

今は亡きセレクトショップの名門フランスのHEMISPHERE(エミスフェール)。

私が知ったのは今から20年ほど前。

全盛期とは少し違う姿のようでしたが、私の洋服の価値観を一変させたセレクトショップのお手本のようなお店。

BERNARD ZINSを知ったのもその時でした。

初めて見る高級トラウザーズのオーラとクオリティに魅せられて、私の中のトラウザーズ像の一つの基本が出来上がった瞬間でした。

私の場合ですが、こうした良品との出会いの積み重ねでファッション感覚を養い、軸が作られてきたなと実感しています。実際すべてを身につけた訳でもないし、見たり手に取って触れたりするぐらいのレベルの事が多いので、偉そうな事は言えませんが、それでも十分得られるものがありました。

その時に感じた感動を今も忘れずに、皆さまにもそのようなモノとの出会いを作りたい。特に今はそういう想いが強く、仕入れにおいていつも心がけている事の一つです。

そうして昨年、憧れのZINSに憧れのHEMISPHEREモデルの復刻を製作依頼。

かなりクラシカルなモデルでしたが、20代の方にも受け入れられ、予想以上の反響を呼びました。

悩むは次期モデル、、、少し欲をかいて、当時のHEMISPHEREのように、L’ECHOPPEが考える完全別注モデルを作りたい。

 

いつもの事ですが構想が固まらないまま、ZINS総本山へ。

約2時間ぐらいでしょうか、予めお願いしていた大量のアーカイブのサンプルを見せていただく。

 

どれもこれも素晴らしいものばかりなんだけど、私たちが今あえて復刻をお願いすべきものは見つかりませんでした。

けれども、最後の最後に80年代に大流行したというノープリーツのパイプドステムなシルエットのコットントラウザーズを手にした時、超著名なあのアメリカのワークパンツと錯覚を起こし、ひょんな事からヒントを得ました。

私自身あのワークパンツは好きでよく履くけど、夢のような理想を掲げるなら、ZINSが作るあのワークパンツが履きたい。

ハイクオリティなあのワークパンツ。

まずは私の周りの人達は全員好きだろうと思ったし、色々なファッションを通過してきた大人の方々、ファッションが好きなスケーターの皆さま方など、個人的に履いて欲しいと思う人もごまんといる。

完全に一方的な想いだけど、そんなワークパンツを作りたい。

ZINSのフランク氏に、その馬鹿げた構想をぶつけてみたところ、ニヤリとしてまさかの快諾。

明日の朝までに参考になるものを見せてくれとの事で、リミットは数時間、、、ここはバイヤー魂を見せるしかない。

私からは、コットンポリエステルのワーク系の素材の手配だけをお願いしてショールームを後にしました。

それからパリ市内の古着屋を駆けずり回り、閉店5分前の古着屋さんで目当てのものを手にした。

意地とプライドをかけて探し当て、とてつもない高揚感を覚えました。

やっぱりバイヤー業はやめられない。

 

アメリカントラディショナルワークパンツ。

 

普段ZINSが作るトラウザーズとは対照的ともいえるアメリカの超量産型ワークパンツを再構築する事に意欲的な姿勢を見せてくれたフランク氏。

1960年代に創業した老舗メーカーが、これほど柔軟に対応していただけるなんて夢にも思いませんでした。彼らの懐の深さを感じれる取り組みになりました。

 

改めてZINSのトラウザーズを徹底的に研究した。

簡易的な作りのワークパンツに、ZINSのこだわりのディテールを注ぎ込む、それもできるだけ表面的に見えないように、分かりづらいように、、、出来るだけ引き算しました。

どちらの旨味も存分に引き出せるように考えました。

 

そうしてL’ECHOPPEの完全別注モデル「L’1」が完成しました。

 

 

 

価格30,000円(税抜き)

発売日は1月25日土曜日。

当日は、私も店頭にてお待ちしております。

 

 

 

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