会いたいなと思ったら、会いに行く。
そんな当たり前のことがなぜできなかったのだろう、と思い出すことがある。何度悔やんでもそれが叶うことは二度とないのに。
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昨年から地元の新聞『十勝毎日新聞』(以下、勝毎)で毎月書かせてもらっているコーナーがある。
その名も「東京圏NOW」という東京の情報を紹介する一面(毎週火曜に東京支社が担当している)で、十勝出身者やゆかりのある方の活動についてや読者におすすめしたいモノやコトなど、基本的にはお題はなく自分が書きたいと思うことを自由に書かせてもらっている。そのゆるさはやはり広大な大地を持つ十勝ならではだろう。
私が2号目より「偏愛北海道」というエッセイを寄稿しているリトルプレス『北海道と京都と その界隈』で勝毎を取り上げたいと思い、本社へ電話をしたことが書くことになったきっかけである。
その際に対応してくれたのが、当時の編集局デスクの近藤さんだった。
私が書いた連載原稿を見て「うちで書いてみないか」と声をかけてくださった。正確に言うと直接ではなく、東京支社の支社長から打診いただき、もちろん迷わずお受けした。幼少期よりずっと勝毎の読者であり、文章を読むことや書くことが好きになった背景には間違いなく勝毎の存在があるからだ。一時は新聞記者になりたいとさえ思うこともあった。幼い頃に抱いた夢を叶えさせてくれた人、それが近藤さんだ。
いつか帰省したときに直接お会いしてお礼が言いたい。しかしそれが叶う日はもう二度と訪れない。
近藤さんは突然亡くなってしまった。
私はその事実を勝毎で知った。帰省中だった実家に毎日変わらず届く、その新聞で。
目を見て感謝の気持ちを伝えることができなかった近藤さんに私ができることは、勝毎に書き続けることだと思っている。
毎月第3火曜日に掲載する自分が担当した記事を納品し、無事に刷り上がりを迎える度に、会うことができなかった近藤さんのことを思い出す。
書かせてもらってからちょうど今日で1年。次の1年も楽しく頑張ります。近藤さん、きっかけをつくってくださって本当にありがとうございました。
いつ会えなくなるかなんて誰にもわからないから、会いたい人には会いたいと思ったときに、伝えたいと思った気持ちはすぐに、届けるべきだといつも思う。