BLOG - シガアキオ(Gardener / 庭師)

What to do while you’re young.

すでに三十代のひとは知らないと思うけど、むかし『北の国から』という倉本聡脚本のフジテレビの名作ドラマがあった。

よく芸人さんかモノマネする、田中邦衛さん演じる黒板五郎という父親と、吉岡秀隆さん演じる息子の純、中嶋朋子さん演じる娘の蛍の親子三人の物語り。

1981年から始まる連続ドラマ、そしてドラマ終了後も数年ごとにその後を追ったスペシャルドラマがあって、2002年の『北の国から〜遺言』までなんと21年間も続いた歴史的長編大作なのです。

その息子の純役の吉岡秀隆さん(ドクターコトーなどのね)は、実年齢はボクより少し上なんだけど、役柄は同い年で、つまり小学生だったボクはそういう特別な目線で観ていた。

東京で普通に暮らしてるも、母親と離婚した父親の独断で妹と一緒に北海道の片田舎(富良野)に連れて行かれてしまう。

そこで強いられる水も電気も通ってない山小屋での慣れない暮らし。

それを世間は素晴らしい美談と捉えるか、父親のエゴと捉えるか。ボクは完全に後者だった。

そもそも父親は北海道の出身で郷土愛があるのかもしれないが、子供にとって生まれ育った場所は東京だ。学校や友達という大事な環境からも引き離すというトラウマを与えてしまう。

ただ倉本聡がすごいのは、そこをいかにもドラマ的な美談にせずリアルに描いてくれたこと。田舎暮らしの素晴らしさや風景の美しさを映しつつ、あくまで生活はリアルに迫っていた。

父親も子供ふたりも、結果的に誰も幸せにならない。それが一番の現実なんだと。

そういう意味で素晴らしいドラマだった。いまは配信もしてるみたいなので興味があれば観てください。

 

で、最近、周りでも田舎暮らし的な流行があって都心部から離れて暮らすひとが多い。

けどボクは黒板五郎ではなく、純と同じ。都会の暮らしが染みついてるから無理に憧れもしない。

よく老後は悠々自適に田舎で暮らそう、などと憧れるひともいるのだろうけど、それは逆だろう、と思う。

その「北の国から」を観てもわかる通り、田舎暮らしってそんなに甘くないはず。まして畑仕事かなんかで自給自足するなどかなりの体力と忍耐がいるはず。

もしそれが可能だとすれば、なるべく若いうちだ。できれば二十、三十代。五十、六十代からではキツい。足腰も弱くなり、クルマの運転もおぼつかなくなって、病院もスーパーも銀行もないところでどう暮らすのか。

だとすれば、年老いてからこそ都会暮らし。部屋から出てエレベーターで降りたら、目の前にスーパー、コンビニ。病院もあちこち。都会のほうが老人に優しい。人間関係も都会のほうがスマートだし村社会のような煩わしさがない。

あとは庭師に憧れてくる年配のかたもよくいるけど、定年向かえてから覚えられるほど職人仕事って甘くないからね。

そこで思うのは、いまこれをスマホやPCデスクからぼけ〜っと読んでるひととか、その仕事、むしろ歳くってからでもできない? てことかな笑

 

 

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