騒動のなか、それでもネタを書いてくるハガキ職人(リスナー)。リスペクトします。
先日、先輩たちと飲んだとき、あるひとから「おまえさ◯◯が師匠じゃなかったら、スタイリストやってないだろ?」
まさに図星でした。たぶんアシスタント三日で辞めたと思う。さすがよくわかってらっしゃる。
実力やセンスより人間の魅力に魅かれてなんとなく続けられました。そんなものでしょう。
そこから少し遡って、まだ舞台美術の仕事をしていたとき、ファッションスタイリストの女の子と知り合いになった。すでに互いに惹かれあっていたものの、彼女には学生時代から腐れ縁のような同棲する彼氏がいた。
話しを聞けば仕事もしないニートで、ふだんはパチンコばかり。ただ深夜ラジオの熱心なリスナーで、毎日何百枚も番組宛てにネタを書いてハガキを送っているという。
そんなクズみたいな男とは早く別れたほうがいい。僕はそう言った。
ほどなくして彼女は彼と別れ、僕と付き合うことになる。
しかしその後、僕も仕事を辞めてしまい、元彼と同じニート。同じように彼女の家で暇を持て余し、毎日パチンコ。
そんな僕に見かねた彼女から、ある日名刺を一枚手渡された。「この人を訪ねて行きなさい」
それが師匠になったスタイリスト。ほんとうにたまたま偶然に、なんの意思も熱意も希望もなく、ある日突然に僕はスタイリストアシスタントになった。
違うひとの可能性も大いにあっただろう。彼女が現場で師匠とたまたま会っただけ。「誰かアシスタントほしいひといない?」「あ、俺」そんな偶然のタイミングだけで僕の運命は転がっている。
それから時が経ち、彼女とはとっくに別れていたがひょんな事から飲みの席で再会した。
「シガくんの噂(スタイリストとしての)はよく聞くわ。でもね、いまカレ(別れた元彼)はもっと凄いわよ」
聞けばラジオのハガキ職人だった元彼は売れっ子放送作家になっていた。
「シガくんも負けないでね」
その時の彼女の言葉にずっと背中を押されている気がする。同じクズ同士どこまで勝負できるのかなと。
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