なら性はICE BAHN名はFORKさんですが。Lifesaverした頃の話をもう少し。笑
僕の担当したプールはとしまえんみたいな遊泳プールではなく、競泳大会などでも使用する体育施設のスイミングプールです。
浮き輪を持ったチビッコとかビキニ姿のお姉さんはおらず、皆speedの競泳水着にキャップ、ゴーグルでトレーニングやダイエットなど泳ぎを本気で励みに来るひとばかり。
となれば遊泳プールほど混雑や煩わしさはないものの、また別の緊張感がありました。
それはお客さんがある程度の上級者や、部活外の練習にくる高校生や大学生で、それを監視する(守る)立場の監視員がそれ以下のスキルというのは無く、その彼らを束ねる責任者である僕も彼ら以下のスキルではまずいからです。
もちろんバイトスタッフは大会記録を持った経験者や、現役水泳部の大学生など。正直焦りました。
時間ごと行う監視員の水中安全点検タイムはプールサイドに上がった人々から注目を浴びます。もちろん僕も飛び込みます。華麗なフォームで泳ぐ監視員の姿は若いスイマーたちの憧れでもあり、それを魅せるというのもある種の仕事。
この仕事の期間で泳ぎはめちゃくちゃ上達しました。余裕で潜水のまま25mターンするし、バタフライも会得。見られて恥ずかしくないパッキパキの身体にもなりました。
そんな日々を送るうち、スタッフとの関係性も生まれます。スタッフの多くは大学生の男女です。
「じゃ今日は傷病者のフォローアップ練するよー」とか「心肺蘇生するよー」とか、彼らに定期訓練させるのも仕事です。
ちなみに救助する独特の泳ぎというのがありまして、水面の傷病者を見失わないようヘッドアップしたままのクロールだとか、溺水してパニック状態の傷病者に引きずりこまれるのを避けるため背後から手首を掴んだり、気道を確保する態勢やテクニカルなことがいろいろあります。あと競泳プールはコースロープが張ってあるのでその障害をどう越えて素早く向かうか、とかね。
心肺蘇生法に関しては、基本的には日本赤十字のルールに準ずるやりかたですが年々ルールが改正されます。僕らの頃は1分間100回の心臓マッサージ→2回マウスtoマウス→またマッサージの繰り返し(AED到着または救急隊到着まで)でしたが、現在は感染予防のためマウスtoマウスはせず、1分100回以上なら何回でもいいそうです。
そういう訓練を「◯◯ちゃん、計るよーはい、イチ、二、サン」とかやるわけです。ストップウォッチ片手に「100回1分ジャストのヤツご褒美〜」とか言いながら。
若い大学生たちと過ごすまぎれもない部活動。
時には人生や恋愛や就活の悩みなんか聞いてあげたりして。
「週末みんなで飲みましょうよ」などと駅前のチェーン居酒屋で朝まで飲み明かしたり、カラオケやボーリング大会もしましたし、チームで水泳大会にエントリーもしました。
それまでスタイリストでやってきたキャリアとか年齢とか、彼らにはまるで関係なく。
それは僕自身それまで背負ってたものがスッとリセットされるような、若い頃の自分に返るような、不思議な感覚でもあったのです。いま思い返しても貴重な時間です。
それと、そんな学生の中でひとりとくにかわいかったのが、ふた回り近く下なのにまるで二、三コ上のパイセンくらいな感じで接してくるヤツがいました。「明日スケボーしませんかー?」とか「いま彼女と一緒なんすけど飲みませんかー?」とか、しまいには「家の用事つきあってくださいよ」とか。え、俺、友達? みたいな。笑
あんまりかわいいので、一度スタイリスト現場に連れてったことがある。その頃スタイリスト廃業は関係者には通達していたのですが、まだ依頼がありました。基本的には断っていたけどどうしてもの場合、次第により引き受けています。
で「今日は俺のアシスタントってテイだから、そこんとこヨロシク」とスタジオ入り。所在無さげな彼に「いいから、何もしなくていいから、突っ立っといて」と。
帰りしな「あれがスタイリストの仕事。どう?」と尋ねてみる。
「いやー、おもしろそうだけど、おれ無理ッスね」
これが現代の若者かと思いました。僕が同じ頃なら飛びついている。
「おれフツーに就職してがんばりますわ」とその後、彼は大手トイレ機器メーカーに就職し地方営業に配属されていきました。
いまも彼や当時学生だったコたちからたまに連絡があります。スタイリストでも庭師でもないライフセーバーのリーダーとして。
以上、本日より通常運行。がんばります。