昨晩は用賀の正六で庭師仲間の会合だった。ただの馬鹿話の飲み会ですが。
まあスタイリストから庭師という僕の経歴も異色だけど、何故か庭師ってわりと同じように異色な経歴の持ち主が多い。ミュージシャンだったり、美容師なんてひともいたかな。
で、昨日のメンツにもひとり元お笑い芸人というのが。某事務所所属でコンビを組んでそこそこやっていたらしい。聞けばよく知る関係者もいた。なもので、話題はやはりかの記者会見騒動。他人事には思えないだろう心情は伝わりました。
蔡さんもブログに書いていたけれど、よく知るというかハッスル時代のアシスタント同期が渦中の芸人さんのほぼ専属スタイリストのような仕事をしていた。思わず心配し大丈夫なのかと連絡したくらいだ。芸人さんに限らず、いまはスキャンダルひとつですべてが終わる世の中。自身が終わるだけでなく、そういう関係者の仕事も無くしてしまう。ほんとうに怖いです。
僕自身、スタイリスト時代に似た経験がある。そういう苦い経験から同期の彼にもずっと気をつけろと伝えてきた。
スタイリストという生業で食べていくには幾つか方向があるけど、いちばんの正攻法はひたすら雑誌をやり続けること。もうひとつは広告系。あとは(ミュージシャンなど広い範囲で)芸能人のスタイリング仕事。
たとえば雑誌ポパイをやっていたスタイリストのハセくん(長谷川昭雄)など僕はリスペクトしてます。何故かといえば、ずっと真摯にファッション雑誌を作り続ける苛酷さを知ってるからです。雑誌1ページを作る労力と見合わないギャラ。それでもそれをやり続けるプライドと儚さ。
反面、日々テレビに映り続けるタレントや芸人さんの衣装を着せる容易さ。ちゃちゃっとコーディネートして雑誌1ページ以上か倍のギャラ。そりゃあ誰でもそちらへ逃げたくなるしポルシェにだって乗れる。そうやって同期だった周りのスタイリストたちは、そういう割りのいい仕事へシフトしていく。でもそれがかっこいい仕事かと言えば決してそうじゃない。
初心に戻って何故僕らがファッションを好きになったのか。それはかっこいい自分でいたかったからだし、ファッションは自分を表現する上でかっこいいものだったからです。
だけど、結果としてそういう仕事。芸人さんだろうが、かっこいい俳優さんだろうが売れっ子ミュージシャンだろうが同じで、彼ら彼女たちを素敵に見せることとは別に、やはり誰かしらに忖度して仕事を貰ってるんじゃないか?どうしてもそう感じる自分がいた。そんなものはぜんぜんかっこよくない。嶋大輔の歌じゃないけど、つっぱることが男の勲章だからね。
えっと、なんの話かわからなくなりましたが。笑
そもそも何故にそんな仕事なのか、業界なのかと考えたとき、やはりこの業界(大きな範囲で)って狭いからです。その業界の中にいればまるで世界のすべてみたいに思えるのだけど、今回の選挙の結果をみてもわかる通り、SNSやまわりで騒いでいるものと世間って大きく隔たりがある。たとえば有名ファッション業界人のインスタフォロワーが数千人から一万人に対し、有名芸能人なら数十万人から数百万人。この差だと思います。つまり自分たちが思っているよりマイノリティ。
このブログの中だと庭師って珍しいですが、世間的にはファッション業界人より庭師のほうがマジョリティ。となりのおばあちゃんすらクライアントになり得る商売ですからね。