グラフィックデザイナーからの流れで事業を起こすと、フリーランスの延長上みたいな感じで「起業家」とはあまり思われない。とはいえ、現在は自社ブランド事業を生業としているので、一応ぼくは起業家だったりする。

弊社、ひとりだけどね。

で、「ひとり会社ってどんな仕事してるの?」と疑問に思う方がいらっしゃるかもしれないので、そんなぼくのとある一日。

10時30分

出社。ひとりだから、割と時間には自由。でも、ひとりだと不便なのが宅配便の受け取り。基本的に何時に行ってもいいのだけれど、宅配便の来るこの時間帯から昼過ぎまではなるべくオフィスにいるようにしている。

オフィスにつくと、植物に水をあげて、ストレッチして、メールチェック。 ビジネス規模が小さいので、メールはそんなに多くない。お客様からの問合せには早めにご返事する。

カスタマーサービス係は自分。

11時30分

少し早めのランチ。一週間のうちほとんどがひとりランチなのだが、たまに打ち合わせを兼ねたランチミーティングや、友人と情報交換ランチに行くことも。この日はUA時代の戦友と近況の話。同じ時代を生きた戦友とは価値観も経験も共有できるので、ついつい本音が出て辛口トークに。本音を言える友人がいるのは大切。

14時00分

オフィスに戻り、地味に下げ札貼り。普段は外注だが、予定が早まり納品になる商品が数品番あり自分でやることに。無心に貼るばかり。

15時00分

コーヒーを入れるついでに(?)、Instagramをアップする。Instagramはブランド公式プライベートの2つのアカウントがあり、前者は内容をあらかじめあたまに入れておき、ちょっとした時間にさくっとアップする。InstagramやFacebookのようなSNSが浸透したおかげで、ぼくらのような小さなブランドが生き残ることができる。なにしろ知恵と労力だけで販促費はゼロ。やらない意味がない。

販促係も自分。

16時00分

WEBストア販売分の出荷作業。WEBストアは新作発売日はそこそこの発送量になるが、普段は数個。終日不在ではない限り、早めに出荷するようにしている。自分だったら、買ったものは早く届いたほうがうれしいもんね。

出荷係も自分。

17時30分

英会話。昨年の5月から週に数回英会話学校に通っている。古巣で初めて海外出張に行った20年前から「英語習わないとなー」とずっと思っていたのだが、昨年ようやく重い腰をあげた。「一年くらい学べば日常会話くらいできるかな」と思っていたが、全然ダメ。日常を日本語だけで過ごせる環境で英語をマスターするには、強い意思が必要。

「キャリアのピークは60歳でいい。ポスト日本型雇用の時代に「プロ領域を積み増す」転職のススメ」

余談になるが、こちらは古巣の同僚がFacebookでシェアしていた記事。とても興味深い話で、要約すると

「終身雇用が破綻した今の時代では、転職は『その時の条件や満足度』よりも『自分にどれだけ資産がプラスできるか(バランスシート)』の視点で選んだほうが長期的に考えた際に有利である」

という内容。興味があれば読んでみてください。

文中に「筆者が考えるバランスシート思考人材になるための5カ条」というのがあるので、以下抜粋して転載。

1.居酒屋で会社や上司の悪口を言っているヒマがあるなら、家に帰って英語と世界史を勉強せよ(英語と世界史はキャリアの“インフラ”。自分でやるしかない)
2.人脈は自分で戦略的につくれ(待っていてもほしい人脈はできない)
3.自分のプロ領域において、ときどき対外試合に臨め(プロと呼ばれている専門家と議論をするなど自分の「プロ度」を測れ)
4.難しそうな仕事は自ら手をあげて引き受けろ(限界まで挑戦することで力がつく。プロはそうやって育つ)
5.週末も含め自分の時間をマネージせよ(自分・家族・会社の仕事を時間単位でこなす習慣が大事)

時間は有限だからこそ「今だけ」ではなく自分自身に対する未来への投資をしていかなければならない。上記の記事は「転職」の話だが、ぼくらのような起業家にとっても「自分」が商品であり、言ってみれば自分勝負。どれだけ知識や経験を培うことができるかがとても大切。英会話もそのひとつ。

18時30分

オフィスには戻らず、コーヒーショップで一休みしつつ、SNSチェック。一番見るのはTwitterで、自分的最強情報収集ツール。ただし、ぼくの場合は政治ネタ多し。

19時00分

そのまま直帰。今の時代、自宅でも仕事ができるのがメリットであり、デメリット(公私の区別がつきにくい)。画像加工などウェブ系の作業をすることもあるし、ブログを書くのはほとんど自宅。ブログも仕事といえば仕事なのだ。

この日はこの春から関わるプロジェクトの企画案。会社はひとりだけど、ビジネスはひとりだけではできない。仕事を通じて多くのパートナーと協力しあい、新しい提案をする。そうしたビジョンを考えるのも起業家としての大切な仕事。常に今日を見て、明日を見て、5年後、10年後について考える。

デザイナーなんて呼ばれることもあるけど、イラストレーターを使う日は稀で、毎日使うのはOutlookとExcelという、意外にもAdobeよりMicrosoftヘビーユーザー笑

こうした一日がルーティンというわけではなく、一日中外出することもあるし、一日中オフィスにこもってデザインする日もあるし、商品やサンプルの写真を撮り続けることもある。だから飽きないし、刺激的なのかも。

向き、不向きはあるとは思うけど、個人的に起業は

「こんなに面白いことそんなにないよ、世の中に」(ターザン編集部内坂さんがウルトラトレイルレースCCCに参加した際の台詞)

と思う日々。

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