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BLOG - 蔡 俊行(フイナム発行人)

頂き女子

 新宿タワマン殺人事件に関心がある。元ガールズバー経営者の女性が、その常連であった容疑者に殺害されたというニュース。当事者ではないので詳しくはわからないけれど、殺害された女性がこの男性から言葉巧みにお金を引っ張って、その返金を軸にいろんな感情のもつれで事件が起こったのだろうというのは推測がつく。男性はそのお金を工面するために大切に乗り続けてきたクルマとバイクを売ったという。ネットでは男性を擁護する意見もあるが、やはり殺害された方が気の毒だ。なんともやりきれない事件である。だからこそここまで人の気を引くのだろうか。

 この事件の前に「頂き女子りりちゃん」という女性が名古屋地裁で有罪判決を受けた。上の事件はこの頂き女子と地続きな構造である。要するに若い女性が、中高年男性からお金を騙し取る。騙してないと主張するかもだが、側から見るとその言い訳は無理がある。

 ちなみにこの頂き女子のマニュアルを読んでみたが、すごくよく書けている。これならぼくら「おぢ」側は簡単に騙されるだろう。騙された方も悪いと言われるとそれ以上モノが言えないのが、おぢ側のつらいところ。

 ところでこの「頂き女子」、本人が使用した用語からあまりに面白いしキャッチーだからそのまま使われているけど、そういう本質をオブラードに包んだ言葉は悪質性を正確に表していないから世の中のためにならないと思うのだが。

 この場合、女詐欺師、あるいは女ペテン師くらいがちょうどいい。性的魅力で相手を手懐け、金銭を奪った詐欺師である。

 こういうのは昔からある。援交(援助交際)などと言って若い売春のハードルを下げたし、いまではパパ活なる言葉もある。これも買春目的行為ではないのか。なんか言葉が軽くなり、罪の意識が当事者もそして側から見ているこちらからもなんだかぼんやりしてしまう。

 AV女優をセクシー女優という呼ぶのもどうか。ポルノ女優ではないのか。いつからこの言葉が禁止用語になったのだろう。呼び方で就業のハードルが下がり、若者がリスクを軽視しがちになる。

 面白ければなんでもいいわけではない。もうすこし世の中が良くなるような正しい言葉遣いをしない限り、日本のジャーナリズムは世界で足元を見られる。

 昔の話だが、騒ぎを起こしたSMAPの一員が、○○メンバーなんて呼ばれた。どう考えたっておかしい。

 

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