CLOSE
BLOG - 岡田哲哉(グローブスペックス 代表)

米国東海岸滞在記 〜 その2:NYC 〜

フリーマーケット「Brimfield」を後にして、ニューヨーク市内へ。車で3時間ほどです。山あいの田舎町から世界有数の大都市へ行くと、真逆の世界が待っています。

午後早めにNY市内に入り街中を少し回ろうと思っていましたが、またしても渋滞にはまり着いたのは夕方遅めの時間。街を回るのは翌日にして、同行した「グローブスペックス」のスタッフ高久君は今回が初の米国、初のNYなので、ニューヨークらしい場所に案内するため、ジャズクラブに行きました。

ジャズクラブというと大人のイメージが強く年齢層が高い方々が多いのかと思いきや、むしろ逆で今NYのジャズクラブは若い人が多いです。今年3月にNYに来た時もそうだったので改めてジャズのクールさや良さが若い人たちにも浸透しているのかもしれません。

本当はこの日の夜、NY在住の非常に興味深い方と会う予定で、だいぶ前から楽しみにしていたのですが、その方の都合が悪くなってしまいました。このことはまた次回実現したらお知らせします。

NYにフルにいれるのはこの2日目だけだったので、できるだけ有意義に過ごすためにまた朝から活動開始です。今後の店づくりの参考になるようなインスピレーションを得られる店を訪ねること、ビンテージアイウェアの仕入れ、ランチとディナーそれぞれに仲の良い知人がスペシャルなお店を予約してくれた、という楽しみもあります!

最初に訪ねたのは「M.CROW」です。オーナーはTyler Hays氏ですが、もともとこの店はオレゴン州の小さな田舎町Lostine(人口300人ほど)にあった町のよろず屋で、20世紀初頭から2012年まで約100年に渡り、その町の人たちの生活に必要な食品や物資を提供していました。Crow家とHays家は双方とも19世紀にその地域に来た入植者だったそうですが、Crow家は2012年に「M.CROW」をTyler Hays氏に譲り渡しました。Tyler氏はLostineの店舗を引き続き地域に暮らす人たちの拠り所として残しつつ、一方ではNYでデザイナーでありアーティスト、そして発明家としても活躍しています。自身が手掛けるさまざまなアイテムを販売しています。デニムや洋服、陶器などに加え、ビールも作っています。

今もその地域の人たちが作るもの、その地域の産物を生かして販売し、地域に働く場も与えているそうです。こうしてCrow家とHays家から受け継いだ「M.CROW」をニューヨークでも営業していますが、ニューヨークではアートや家具なども見ることができます。

広い「M.CROW」の店内。ファッション、家具、アート、陶器など、ニューヨーカーにさまざまなものを提案しています。

広い「M.CROW」の店内。ファッション、家具、アート、陶器など、ニューヨーカーにさまざまなものを提案しています。

「M.CROW」は柱や床のタイルにも細やかなアートが施されています。

「M.CROW」は柱や床のタイルにも細やかなアートが施されています。

前回、この店を訪ねたのはコロナ前でその時の様子は2019年9月のブログで紹介していますが、やはりこの店は圧倒的! NYという世界の先端を行く大都市のよろず屋のように、ニューヨーカーに対して服、アクセサリー、家具、アートを提案しているのですが、デザイナーでありアーティストで絵画も描き、家具もデザインしているTyler氏の店づくりは壁も、床もこだわり抜かれていて、敷き詰められたタイルにも洒落たアートが描かれています。置かれているアイテムも素晴らしいのですが、空間ごとに少しずつ雰囲気や仕様が異なっていて、店の中の空間を移動して別世界に入り変化する楽しみもこの店が大好きなところです。

やはり「M.CROW」は自分の店のイメージや計画を考える上で非常に良いインスピレーションやヒントをもらえるお店です!

昼は「CARBONE」でランチしました。長年のお客様であり、ときどき一緒に食事やテニスをしたりする友人が予約してくれました。オーナーをご存じだそうです。NYの中でも特に予約が取れない大人気店で、大物アーティストや俳優なども顧客のようです。予約時間は開店の11時半でしたが、その少し前に着いたらすでに入り口前に行列ができていました。ミシュランスターのお店です。

同行した高久君の表情が面白い、「CARBONE」での1枚!

同行した高久君の表情が面白い、「CARBONE」での1枚!

もちろんですが、非常に美味しかったです! SOHOの中でもカジュアルなイメージが強いエリアなのですが、「CARBONE」の店内はスーツにボウタイ、髪をしっかり撫で付けたスタイリッシュなウェーターたちがキビキビ動いているクラシックスタイルの格好良いお店でした。イタリアンです。

このレストランの作りで面白かったのは、店の一番奥にカーテンで仕切られたトンネルがあり、それを抜けると奥に新たな空間が現れ、その空間はテーブル間のスペースがよりゆったりとしている特別な部屋になっていました。友人が手配してくれたのはその特別な空間の席で、とてもありがたい体験ができました。

「CARBONE」の看板。前の店の看板文字を完全には剥がさないでネオンを重ねています。

「CARBONE」の看板。前の店の看板文字を完全には剥がさないでネオンを重ねています。

看板で一番面白かったのはこの店で「SPORTSWEAR」の前に「MEN’S」の文字が剥がれ落ちてしまっていますが、店内は非常にオシャレなウィメンズの洋服屋さんです。ニューヨークにはこのような面白い看板があります。

看板で一番面白かったのはこの店で「SPORTSWEAR」の前に「MEN’S」の文字が剥がれ落ちてしまっていますが、店内は非常にオシャレなウィメンズの洋服屋さんです。ニューヨークにはこのような面白い看板があります。

途中、チョコレートの店「Marie Belle」にある非常にダークなチョコレートドリンクを飲みましたが、これが最近、NYに行った時の欠かせないものの一つになっています! 絶品です。

上は「BODE」の店。下は「BODE」の店がある街の様子です。

上は「BODE」の店。下は「BODE」の店がある街の様子です。

そのあとは前回(今年3月)にも訪れた「BODE」に行きました。この店はチャイナタウンとイーストビレッジの間辺りなのですが、どちらかというとチャイナタウンの中なので、周囲は漢字の看板であふれ、中国系の人たちが非常に多い地域です。「BODE」のウィンドウの前に木製の長椅子が置いてあるのですが、そこにスクールバスを待つ中国系の子供たちや母親たちが座ってバスを待ちながらアイスクリームやお菓子を食べていました。それを「BODE」に出入りするオシャレなスタッフや顧客が微笑みながら見ていたりします。決して安い服ではない店なのですが、地域に馴染んで愛されているようです。

「BODE」の店の前でスクールバスを待つ中国系アメリカ人のキッズたちとその親たち。

「BODE」の店の前でスクールバスを待つ中国系アメリカ人のキッズたちとその親たち。

古着や刺繍、パッチワークなどに特徴がある「BODE」の店舗らしく、店内装飾もデザイナーの思い入れの深い個人的な手紙を額装してあったり、ハンドクラフトのオブジェが点在していたり、大きな穴が空いたソファがあったりと、ブランドの世界観を強く感じるインテリアが置かれています。天井まで「BODE」らしい意匠が施されています。

選んだエリア、店内のあらゆるこだわりと世界観、フレンドリーなスタッフなどすべて素晴らしいです。

 

店内のどこを見ても「BODE」らしさにあふれています。

店内のどこを見ても「BODE」らしさにあふれています。

そして次に行ったのはトライベッカにある「180 The Store」。「BODE」もそうですが、SOHOやイーストビレッジが人気の高まりからどんどん家賃が高騰し、高級ブランドの店が増えたためか、より面白い味のある店はチャイナタウンやトライベッカなど、SOHOやビレッジより南の方にシフトしている印象があります。「180 The Store」は真っ白で明るい店内で、メンズとウィメンズのファッションの他、陶器や家具なども扱っています。オーナーのセンスが良いので、今ニューヨーカーが好んでいるものの傾向が分かる店でもあります。

端からアイテムを見ていたら非常に気になるデニムがありました。「Chimala」のデニムです。昨年まで長らくニューヨークを拠点として活躍されていた町田さんご夫妻がデザインするブランドで、お二人は「グローブスペックス」のお客様でもあります。ペインターパンツとオーバーオールが気に入ってしまい両方買ってしまいました(笑)。このお店は訪ねるたびに欲しくなるものがあって危ないです! オーナーのDeniseもすごくオシャレで素敵な方です。

ビンテージのアイウェアもいろいろセレクトして買い付けました。到着したら改めてご紹介しますが、今回極めてに珍しいアイテムを仕入れることができました。スティーブ・マックイーンが愛用していたものと同型の「Persol」の折り畳み式サングラスです。これはマックイーンの写真でよく着用しているのを見かけるサングラスですが、復刻版は見たことはあるものの、リアルなビンテージはほとんど残っておらず幻といわれるものです。なので高価です! 到着したらまたお知らせします。

このサングラスは1980年代の「Porsche Design」。他にもいろんなビンテージを買い付けました。

このサングラスは1980年代の「Porsche Design」。他にもいろんなビンテージを買い付けました。

Selimaとのディナー前に見に行った「Grand Central Station」内のバー。こんな洒落たバーが隠れるようにビル内の分かりにくい場所にありました。今度行ってみたいです!

Selimaとのディナー前に見に行った「Grand Central Station」内のバー。こんな洒落たバーが隠れるようにビル内の分かりにくい場所にありました。今度行ってみたいです!

夜は親友であるSelimaとのディナーです。Selimaとはお互いの国を訪れるたびに、より美味しいお店、スペシャルな店に案内すると言う対決を毎回行っています! 実は3月にNYを訪れた際にこのレストランを手配しようとしたところ予約が取れなかったそうですが、今回はかなり前から計画していたので大丈夫でした。マンハッタンのハブ駅である「Grand Central Station」でUberを降り、駅の中の隠れている素敵なバーを見学してから駅目の前にあるビルへ移動しました。

数多くのレストランがあるNYでさえ5店舗しかないミシュラン3つ星レストランがそのビルの1階にありますが、同じビルの55階にそのミシュラン3つ星のシェフDaniel Bould氏のもう一つの特別なレストランがあります。ビルの1階入り口から中に入ると防犯ゲートがあり、その横にレストランのレセプション兼セキュリティーデスクがあります。そこで免許証やパスポートなどID提示を求められます。

レストランに入るのにID提示を求められたのは初めてです。IDの登録が終わるとセキュリティゲートを通ることができ、専用エレベーターで一気に55階まで上がります。到着してまずウェイティングバーに通されると驚きの光景が広がっていました。マンハッタンの摩天楼の中でも私が一番美しいと思っている「クライスラービル」の先端が目の前にあります。

窓から離れて見ると「クライスラービル」のタワーが巨大に見え、近づくと窓枠が大きく見えるので「クライスラービル」が小さくなったように見えます。

窓から離れて見ると「クライスラービル」のタワーが巨大に見え、近づくと窓枠が大きく見えるので「クライスラービル」が小さくなったように見えます。

反対側のレストランからは「エンパイヤステートビル」や、マンハッタンで一番新しい地下鉄駅のまわりに開発が進んだHudson Yardの辺りもよく見えます。

上は「エンパイヤステートビル」、下はレストランから見下ろした「ブロードウェイ」。

上は「エンパイヤステートビル」、下はレストランから見下ろした「ブロードウェイ」。

「Grand Central Station」はマンハッタンのほぼ真ん中にあるので、この55階のレストランからは全方向、ニューヨークの摩天楼を見渡せるのです。この絶景を拝みながらミシュラン3つ星シェフの料理を楽しめるとは何なのかと思っていたら、ここはアメリカンエキスプレスのセンチュリオンカード会員のクラブだったのです。センチュリオンカードとはプラチナカードよりも更にステータスが高いブラックカード会員のためのレストランとバーを併設している特別なクラブでした。これには太刀打ちできませんね(笑)。Selima、参りました! 最高の景色と料理を堪能させてもらいました。

「クライスラービル」の全体と夜の風景。

「クライスラービル」の全体と夜の風景。

シェフのDaniel Bould氏と。

シェフのDaniel Bould氏と。

UPDATE BLOG

ブログトップもっと見る