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BLOG - フイナム編集部

【アメリカ旅行記 第六回】ポートランドのやっぱり変わっていなかったこと。

 前回はすっかりポートランドが変わってしまったということを話したが、ちゃんと変わってない部分もたくさんあったのでご安心を。今回はその中でも特に、これぞポートランド! と感じたところを3つ紹介したい。

 ①ひとの温かさ

 これは今回の旅でひしひしと感じたことのひとつ。決してほかの地域がそうでないという意味ではないが、アメリカで旅をしていると必ずと言っていいくらい、こちらの舌ったらずな英語に対して眉間にシワを寄せてきたり、会話をしていても相手からのリスペクトが全く感じられない場面が少なからずある。でも、ポートランドではそう言った経験をすることがほとんどない。レジ打ちのおばちゃんも道行く人もみなフレンドリーで大らかだ。

 その感覚はアメリカ人にとっても共通なようで、宿泊先でニューヨークから来たという子と少し話していると、ポートランドのひとはみんな親切すぎて、何か裏があるんじゃないかと疑心暗鬼になったと言っていた。ちなみに彼女いわく「New Yoker is so mean(ニューヨーク市民はいじわる)」らしい(笑)。

 ②住みやすさ

 「住みやすさ」という点において、いままで訪れた都市の中ではポートランドが圧倒的。いろいろなものがちょうどいいのだ。例えるなら、日本で言うところの札幌のノリに近い(実際、札幌はポートランドの姉妹都市である)。

 かつて「全米一治安の良い街」と言われていたポートランドの治安の良さは、ダウンタウンなどの一部の地域を除き健在で、いまでも家の鍵をかけない家庭も多いほど。さらに、交通機関も充実しているので、旅行くらいなら車がなくても問題ない。地元のレストランは美味しいお店が多く、ポートランドベースのブリュワリーも多かったりと食事も楽しい。消費税もないので、買い物もしやすい。

 街も都会すぎず、でも欲しいものはなんでも揃うくらいには発展していて、ちょっと郊外に出れば自然もたくさんある。ここまで絶妙なバランス感で発展している都市はそうそうないのでは。

 ②WEIRDなところ

 ポートランドでは、スローガンに「KEEP PORTLAND WEIRD」という言葉があるくらい、変わっていることを美徳としている部分がある。それゆえ、マイノリティであることに対してのプレッシャーも少ない。実際、街にはカテゴライズできない奇抜なファッションやヘアスタイルをしているひとが多かったり、セクシャリティなどに対しても考えが明るく、オープンなひとが多い。これは行事ごとにも言えることで、世界中のリベラルな都市で開催されるヌーディストのお祭り「World Naked Bike Ride」の規模が最も大きいのは、ポートランドである。

ポートランドで5年前に開催された「World Naked Bike Ride」の様子。写真は実際に参加したときに撮ったもの。

 イベントでいうと、今回の滞在中はちょうど「ローズフェスティバル」の真っ只中だった。これは全米でも有数の規模のお祭りで、毎年6月に約3週間にわたって開催される。週末の夜には「スターライトパレード」と呼ばれる数時間かけて夜のダウンタウンを練り歩く大規模なイベントが開催されていて、地元のひとたちは大いに盛り上がっていた。

「Back to the Future」のデロリアン。先頭にはマーティがスケボーで走っていた。

日本を意識した山車的なカートもあった。後ろでは和太鼓の演奏も。

学生やローカル企業だけでなく、大企業が参加しているのも面白い。アラスカ航空の若いCAさんが制服で行進していたのだが、それを見た周りのおじさんたちのテンションが上がっている姿にちょっとほっこりした。CAの制服を見て男子が喜ぶのは世界共通らしい(笑)。

 「WEIRD」なのは食に対しても言えることで、ポートランドにはアグレッシブかつヘンテコな料理が多い。有名どころで言うと「ブードゥードーナツ」のカリカリのベーコンが乗っかった「メイプルベーコンドーナツ」がそうだ。

 パンデミックによって、数年前まで流行っていたレストランがいくつも潰れているのに、そういったカオスな料理を提供するお店はしっかり生き残っているのが、なんともポートランドらしい。

 せっかくなので、次回はポートランドで出会ったゲテモノ系フードをもう少し掘り下げて紹介します。

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