最も世界で名が馳せる写真家集団?と聞かれれば『Magnum Photos』という人が過半数だろう。その音楽版を知ってますか?同様の価値観と信念を基にミュジーックというジャンルで活躍する同胞や自分の写真をより多くの人に楽しんでもらうために、1998年にJill Furmanovskyが発足したミュージック写真団体が『Rockarchive』である。当初は、彼女の30年に渡る写真家としてのキャリアから厳選した白黒写真30点を30エディッションでダークルームプリントとして出す 30/30/30 のコレクションから全てが始まった。現在は、インジェクトプリントエディッションなどを含めて約60名の写真家からのアイコニックな作品750点強を展開するコレクティヴ=集団まで膨れ上がっている。コレクター限定(エディッション)アイテムとして全エディッションが既に完売しており、その価値も10倍になっているプリントも多数存在する。
スリーブや雑誌の表紙、お気に入りのミュージシャンの今まで見たことがない表情をとらえたイメージなど眺めているだけで楽しい。僕がそんなJILL(ジル・ファマノフスキー)と知り合ったのは2000年、彼女がアンオフィシャルといわれながらオフィシャルで撮影をしていた英バンド『OASIS』が頂点に昇りつめる軌跡を描いた写真展をカムデンのラウンドハウスで催していた時の事だ。『Was There Then』という題目でOASISのアルバム題名『Be Here Now』にかけていて、なるほどと感心しながらそのイメージの力強さに圧倒された思い出がある。
彼らのセレクションから更に厳選、編成しスタイル・カルチャー・洋服の変遷の点を繋いで線としてうち出している場所が原宿にある。『International Gallery Beams』である。60年代〜そのユースカルチャーやユースを刺激しつづけたアイコンのプリントが壁満遍に飾られている。このクオリティのプリントを間近に観て、その瞬間のイメージが撮られたストーリー(キャプション)を読むと必然とその時にタイムスリップする感覚を覚える。それがロックフォトグラフィーの醍醐味かと。
ロンドンは明日から4週間のコロナによるロックダウンが始まる。