今年62歳になったイギリスを代表する写真家ニック・ナイト。ロンドンから約2時間ドライブして到着したのがロスチャイルド家所有でナショナルトラストが運営している迎賓館『ワデスドンマナーハウス』。1080ヘクタールある広大な敷地にある庭園は、1885年にファーディナンド・ロスチャイルド男爵が10年かけて作り、有数の美術品コレクターでそのコレクションを展示し人を招待して歓待する為に作られた場所である。
個人的には、久しぶりにみるニック・ナイトの写真展。『Roses from my Garden』は自宅の薔薇を摘み、アイフォンで撮影したイメージを拡大し、ピクセル化した隙間をうめるAI技術のソフトを使用した 大型プリントのシリーズ。彼が近年トライしている、薔薇のような静止物を自然光で撮影する新しい試みである。
展示されたイメージは何所かシュールでちょっと人為的で非現実的だが近づいてみると油絵絵画の様なブラッシュストロークではないが、グリッチ的なテキスチャがあり不思議な感覚がする。
写真してのイメージではなく、イメージをデジタル化した新しいビジュアル言語であり、孤高で孤独なパーソナルプロジェクトであり、瞑想的な作業で彼にとってロックダウン中、儀式的な週末日課になっているという。
後しろ姿ですが、ニック自身も偶然会場にいて、ご挨拶。2回目の訪問だとか。攻めの姿勢、見習うべきで良い刺激になりました。