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銀座のGINZA6にあるギャラリーTHE CLUBにてアメリカ人アーティスト、ライアン・サリバンの個展が開催されている。ニューヨークを拠点に活動する若き作家はニューヨーク近代美術館などにも作品が収蔵され2015年にはICAマイアミ美術館にて個展も開催した。彼は素晴らしい色使いと彼自身も予測できないであろう素晴らしい色や形の展開で見事な抽象世界を形作り上げる。塗料の性質を追求する中で樹脂を使って描くことに着目した彼の作品は抽象絵画への独自のアプローチであり実験的ともいえるプロセスを経て作品は完成する。複数の色の塗料を重ねることで浮かび上がるのは凝縮した深い色の重なりでそれは無数の偶然性が生み出した表情とも思える。まるで自然の営みが複雑な地層を作り上げるかのような神秘的な輝きを発する絵画作品は美しく儚いようでもある。抽象絵画はもちろん脈略もなくただ描いているわけではなく作家の意図や絵画自体の中で発生する偶然性が折り重なって作品化するものだと考えている。そのプロセスでは作家のセンスが問われる小手先のごまかしなど許されない厳しい表現方法だとも言える。現代において偉大な抽象絵画を生み出してきたポロックやデクーニング、リヒターなどもその作品に宿る魔法のような力が見るものの様々な感情を刺激し開放してくれるのである。そういった抽象絵画の文脈においてこのまだ若干30代という若い作家の描く抽象絵画はまぎれもない本物であり今後の活動にもさらに注目したいと思った。

深い色合いは絵画の内側から溢れ出たような質感を放つ。

作家の意図的な表現と絵画の中で起きる偶然性が融合する。

非常に繊細であると同時に大胆な抽象表現だと思う。

絵の中で繰り広げられる流れや勢いが画面を駆け抜ける。

今回の展覧会のために紙のシリーズなど12展の作品を描き下ろした。

色使いのセンスは学べるものではなく才能としか言いようがない。

アメリカの現代アートに続く抽象表現のDNAを感じる。

 

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