思い返せば、2017年。
世界をちょっと騒がせたアナウンスがありました。
Range Rover Reborn Project
10台限定で、ランドローバー社が直々に初代レンジローバーをレストアするという企画。
オーストラリアなど、コンディションの良い右ハンドルのレンジローバーのレストアベースを探し、ランドローバーに残るオリジナルパーツで完璧にレストアをするのです。
こんな感じのプレートがつくらしく、これはかなり気になりまして。
すぐにランドローバー社に連絡してみたところ、
今なら注文できるということで、
即決で注文したのでした。
値段は、確かに高いは高かったですが、
新車のレンジローバーを買うことを考えたらそこまで高くはなかった。
(今の車の相場を考えると、激安だったともいえます。今よりはるかに、円高だったし。)
レストアというのは、想像を超える時間がかかるものです。
今まで何台かのレストアを経験しましたが、
買うと決めてからの時間もさることながら、
納車されてからの調整も随分手間のかかるもので、
まさにトライアンドエラーという表現にピッタリの時間を過ごすことになります。
しかし、今回の車は、オリジナルのメーカーがするもので、
納車された車は完璧なものに。
これは本当に楽しみです。
与えられた僕の番号は11。
10台限定と聞いていましたが、
細かいことは気にしない。
そこから、しばらくオーダーしたことさえ忘れていた1年ほど経ったある日、突然連絡が。
「ある程度の目処がついてきたので、一度コヴェントリーの工場に見にきませんか?」
すごい。
出来上がりつつある僕の車を見せてくれるらしい。
コヴェントリーの工場は、今回の企画のために用意された特別な工場で、
レンジのレストアに慣れたオーストラリアからのメカニックを招聘したり、
営業の人も元々はアストンマーチンの塗装をやっていた職人上がりだとか。
これは行くしかない。
昼食を招待してくれるということなので、
ヴィーガンの食事をリクエストし、
早速ロンドンへ。
そこから、レンタカーでコヴェントリーに向かいます。
2018年の時点で、レンタカーはまだ普通にマニュアルの車だったりするイギリスってすごいなぁ。
で、つきました。コヴェントリー。
早速、外にはジャギュア(伊丹十三風の読み)タイプEが。
普通に乗ってるのがすごい。
中に入れば、3つのロイヤルワラントが。
そして、これからレストアされるタイプE、普通に置いてあります。
よく見ると、白い小さなステッカーがたくさん貼られています。
これは3Dスキャニング用のものらしく、現代の技術がきちんと反映されてるのも確認できました。
うーむ。ゾクゾクするなぁ。
僕のレンジローバーはどこだ?
多分伊丹さんなら、レェンジィと言えというかもしれませんが、
とりあえず、レンジを!
「まずは、モデルカーがありますから、どうぞ。」
「モデルカー?」
「そうです。シリアル0の最初のレェンジィです。あとでミスタートリバのレェンジィは工場の中でお見せします。でも、工場内は撮影禁止です。この車は、自由に撮ってください。」
ふむ。
では、まずは見せてもらいましょう、そのモデルカーとやらを。
こちらは、もう一台のレストア済車両。
当時、ライカのモノクロームにハマってて、白黒でも撮りまくりました。
美しい。
これです。僕が欲しかった車は。
発売した時と、全く同じ、そのまま。
タイムマシンで当時に行って買うことになっても、同じ感覚に陥るのか。
色は白にしたけど、このサンドベージュもいいな。
なんて思いながら、ついに工場の中に。
(ここからは、写真厳禁のため、想像力を高めてどうぞ。)
僕のレンジが待ってます。白いレンジが。
想像よりもガラんとした広い工場に通され、
色々な場所を説明してもらって。
そしてついに、僕の車にご対面。
「これです。ミスタートリバ。」
そこには、地面にテープで四角い区分けがしてあり、
白いチョークで、11と書かれていました。
そこに、置かれてる、黒い骨組みのようなもの。
「シャーシだ。」
トリバ「これはシャーシーですね。」
ランドローバー「はい、ミスタートリバのシャーシです。」
トリバ「オーイェス。ファンタスティック。ん?」
「以上」か?
これだけかい。
これが、「目処」かい?
そのあとは、他に進んでいるという、
(僕にはあまり進んでいるようには見えない)
他の車を見学し、
見学終了。
昼食は隣の事務所でと通されたところにあった昼食は、
サンドイッチと、ポテトチップス(イギリスではクリスプスというのですが)、
コーラ。
以上。
イギリスの食事って、こういう感じなんですよね。
久々に帰ったイギリスで、本当のイギリスを思い出させてくれる。
そこから、
2019年の11月についに連絡が。
Your Range Rover is number 11 in build. We are currently finishing Car 6, Car 7 is in build and are about to start the final build of Car 8.Your car has the chassis and engine complete.I will get an approximate timing from the build team next week.
あなたの、11番のレンジは、作成中です。今6番と7番が終わるところで、8番が始まります。
シャーシとエンジンは完成しました。
詳細は来週連絡します。
まあまあ1年以上経ってるが、良しとしましょう。
そして、「来週」の連絡は来ず、
2021年についに連絡が。
Land Rover Classic are immensely proud of the flexibility and professionalism of our teams during the unprecedented events of the last eighteen months. Our employees have stayed focused on delivering for customers during this time, and we are equally appreciative of the support of our customers and partners.
However, COVID-19 continues to impact all of us, and despite the focus of our teams, events outside of our control have disrupted our Range Rover Reborn program to the point that we unfortunately are having to cancel your order.
More than a year since the start of global lockdowns, some key partners in the supply chain for this project have experienced significant impact to their business which makes our ability to deliver Range Rover Reborn orders impossible at this time. Rather than ask our valued customers to wait longer whilst we try and re-establish a supplier base, due to there being no guarantee of success we have made the tough decision to cancel orders.
It is never easy delivering disappointing news, and we apologise for any frustration this news may cause.
せっかくなので、chatGPT に翻訳をお願いしましょう。
「Land Rover Classicは、過去18か月にわたる予測不可能な出来事に対するチームの柔軟性とプロフェッショナリズムに非常に誇りを持っています。この期間中、私たちの従業員は顧客に対する提供に焦点を当て続け、同時に顧客やパートナーのサポートに感謝しています。
ただし、COVID-19は私たちすべてに影響を与え続けており、私たちのチームの焦点にもかかわらず、制御の外の出来事がRange Rover Rebornプログラムを妨げるほどに影響を与え、残念ながらあなたの注文をキャンセルせざるを得なくなりました。
世界中のロックダウンが始まってから1年以上が経過しており、このプロジェクトのサプライチェーンの重要なパートナーの一部は、このプロジェクトの注文を提供する能力を不可能にするほどの影響を受けています。サプライヤーベースを再構築しようとしても成功の保証がないため、尊敬するお客様に長らくお待ちいただく代わりに、注文をキャンセルするという難しい決断を下しました。
がっかりするニュースを伝えるのは簡単ではありませんし、このニュースがお客様に不快感を与えることをお詫び申し上げます。」
夢をありがとう、ランドローバー。
テスラでも買うよ。