BLOG - 田辺良太(WHITEWALL代表 アートプロデューサー / コンサルタント)

見たことないようなSystem of Cultureの写真が衝撃的!

神宮前のMAHO KUBOTA GALLERYSystem of Cultureの個展「Exhibit 8 : Pieces of Narratives」が開催されている。

2017年に3人のアーティストによるコレクティブとして結成されたSystem of Cultureは、現在は小松利光のアーティストネームとして活動をしている。

初めて見た時、小松利光がSystem of Cultureの名のもとに作り出す写真のイメージと、その画質のきめ細かさはちょっと今まで目にしたことがないような衝撃を与えてくれた。

System of Cultureは、SNSAIの普及によって日々膨大な情報とイメージにさらされる現代社会の状況を、芸術表現の主題としてメタ的な視点から捉え、美術史との接続を意識しながら実験的な作品を制作しているというが、なるほど確かにそうなんだろう。

結果として立ち現れる数々のイメージは現代の生活の中の日常の断片のようであるが、実は細部まで計算し尽くされた構図を持つ現代における風景の古典的な静物画とでも呼ぶべきか。

この展覧会では、写真作品31点、立体作品3点に加え、文筆家・伊藤亜和、脳科学者・中野信子、アーティスト・布施琳太郎の3名に、31枚の作品から数点を自由に選び、選んだイメージをもとに触発された短編テキストを執筆した作品も展示されているほか、素晴らしい作品集も制作された。

こうした多層的な仕掛けを通じて、展覧会空間は、鑑賞者が作品に潜むコードを読み取り、自らの物語を紡ぎ出す、インタラクティブなナラトロジーの実践としての思考実験の場となっているのだった。

コンセプチュアルアートにおいて発想の種であるコンセプトは重要だが、それをどういった形で作品化するかという表現におけるセンスの良さや美的意識の質が最終的な作品に現れるのだと思うが、System of Cultureの作品はまさにセンス抜群だ。

MAHO KUBOTA GALLERY

https://www.mahokubota.com/ja/

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