外苑前にあるMAHO KUBOTA GALLERYにて古武家賢太郎の個展「The Other Side of Hope / その向こう側へ」が開催されている。古武家賢太郎君と最初に会ったのはもう15年くらい前に中目黒でディレクターを勤めていたカフェ兼ギャラリーでグループ展を企画した時だった。「Draw by Hand」というテーマの企画展はパーソナルコンピューターが普及して来た新たな時代の中で「手で描く」ことに焦点を当てたグループ展で古武家賢太郎の他にエドツワキなども参加してくれた。その頃から色鉛筆で描きこむ手法や夢の中の風景みたいな不思議な世界観はもう確立していてとても魅力的な作品だった。その後スカイザバスハウスギャラリーの作家になってから展覧会で小さな作品を買わせてもらって今も大切に持っている。ここ数年は生活と制作の拠点をイギリスに移して活動しているが今回の作品はコロナパンデミックのため日本の故郷広島に戻って制作した作品群とのことで色々な思いが詰まった作品になっているように思う。近年は紙ではなく自然の木を支持体にその上に色鉛筆で丹念に描きこむという手法に定着したそうだが木目が透けて見えるような画面に広がる古武家賢太郎ワールドはますます豊かにそして自由な広がりを見せているように感じる。
