六本木にあるタカ・イシイギャラリーフォトグラフィー/フィルムにてメキシコ人アーティストのルシア・ビダレスの日本初の個展「To cool the blue(青を冷やすために)」が開催されていた。目の覚めるような美しい色合いと独自の世界観を持つ絵画を描く作者は女性という自らの身体性や生死を繰り返す人間への想いを筆にまとわせて流れるように描いているように感じた。この世を去った最愛の者たちへの悲壮感と新たに生まれてくる者たちへの歓喜の想いが一つの世界を共有するような幻想的で儚い絵画作品である。それにしても彼女の色彩感覚は実に素晴らしいと感じた、メキシコという土地で育ったこともあるのかもしれないがこのように美しい色使いができるのは才能としか言いようがない。
首のない体に抱きつく人?血のような赤い色が鮮烈だ。
深く輝く青い色の下の女性は眠っているのか死んでいるのか?
メキシコの文化的または環境が独自の色のセンスを育む。
泣き崩れる女性。儚く淡い色の組み合わせが実に美しい。
ちょっとユーモラスな感じも受ける絵だが表現は現代絵画的だ。
死者を運ぶような古典的な宗教画にでも出てきそうな人々の構図だ。
様々な想いや場面が混在する世界は具象と抽象の狭間にある。