天王洲アイルにあるKOSAKU KANECHIKAにて沖潤子の個展、「刺繍の理り」が開催されている。刺繍という手法で古い布地などに新しい命を吹き込む作家は古い布や道具が経てきた時間や物語を刺繍によって紡ぎ出す。そこにある長い時間の蓄積に刺繍によって作家自身の時間の蓄積を刻み込め紡ぎ上げることで新しい偶然性を孕んだ作品を生み出すのだ。今回の展覧会では刺繍の存在感がひときわ強くなり作品としての重みや厚みが増しているように感じたがどういった経緯で制作されたかなどを考慮しなくても一つの絵画作品を見ているような奥行きと重厚さを感じずにはいられなかった。これほどまでの刺繍をただひたすらに貫くという作家の一途な制作への熱意とその結果として浮かび上がった美しい作品の存在には目を見張るものがある。

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