天王洲アイルにある児玉画廊にてシリーズ化されているグループ展「ignor your perspective 54 How I wonder what you are」が開催されている。今回は木下理子と中川トラヲの2人によるグループ展でそれぞれの作品における空間とプロセスを比較しつつ体験できる展覧会となっている。木下理子は線を表現の手段とし平面や3次元に展開するが軌跡としての線と糸としての線を作品としてギャラリーの壁面や床に展開している。中川トラヲは描く前にどういう作品になるかを決めないで制作に取り掛かるが以前はベニア板の木目に沿って描き進むという偶発的な手法で作品を制作したりもしていた。今回はジェッソで作り上げた白い土台の上に薄い絵の具のストロークを重ねるという手法で作品を描いている。絵の具の塗られた部分や透けて見える下の層の絵の具、塗り残された白い下地などが作品の要素として現れる。それぞれ非常に意欲的で独特な作品表現は多様な表現の競演を見ることのできる展覧会となっている。
中川トラヲの作品。黒い下地の上に繊細なブラシストロークがある。
塗り重ねられたストロークが透けて見える奥行きのある絵だ。
木下理子の展示は壁面の作品と床に配された作品で構成された。
「青写真」の手法で制作された作品。線は微妙に揺らいでいる。
軌跡としての線と糸としての線が交じり合うようだ。
薄い絵の具のためブラシストロークの動きがよくわかる。
制作の過程で現れる偶発的なイメージがある。
ギャラリーの床に展開する糸としての線は軌跡でもあるのだろうか。