さまよえるニッポンの私

原美術館で森村泰昌の展覧会「エゴオブスクラ東京ーさまよえるニッポンの私」が開催されている。名画や映画の登場人物、歴史上の人物、有名人などに扮してセルフポートレートを撮影し作品として発表してきた森村は自らが様々な時代や人種、性別の人物になりすます。また制作にあたってはただその人物に扮するのではなくその人物の背景に作家独自の解釈を加えて作品にするのだ。敗戦後、戦前の教えが否定された日本人には空虚感が広がったがそれを埋めたのは西洋の価値観であった。そんな時代に大阪で育った森村は心理や価値、思想というものは自由に着替えることができるのだという発想に至る。展覧会タイトルにもある耳慣れない言葉「エゴオブスクラ(Ego Obscura)」に森村が込めた意味は「闇に包まれた曖昧な自我」だというが森村は日本人としての自我を探し求めながらさまよい続けているのだと思う。

誰かになりすますためのカツラやスーツケース、鏡がある。

薔薇刑の三島由紀夫に扮する森村のセルフポートレート。

扮する人物の容姿や存在感までも表現する。

エドゥアール・マネによって描かれたオランピアに扮するためのセット。

オランピアのようでいて日本髪の女性にシルクハットの男。

マネのフォリーベジェール劇場のバーを再現した作品では腕をセットで作る。

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