パリに来ると必ず訪れるのがピカソ美術館である。数年前にリノベーションも終わり素晴らしい展示スペースが古い宮殿のような建物内に展開する。毎回楽しみなのはピカソの作家としての様々な側面を検証するような見事なキュレーションの企画展だが今回も非常に面白い企画展が見られた。「ピカソ・マジックペインティング」とは1926年から1930年くらいまでの期間にピカソが精力的に制作した作品群のことでこれらの実験的な作品はシュールレアリズムへの影響や絵画へのアプローチを彫刻的に行うこと、または絵画制作の心理学的な思考などその後にピカソが作り出すゲルニカやその他の画期的な作品へと繋がる出発点となるような作品だ。ピカソは実に変幻自在な作家であり生涯にわたって様々な様式の作品を作り続けたが僕はこのマジックペインティングから始まるピカソの作品が最も好きなのでとても興味深く見せたもらった。「私は子供の頃すでにマスターのように絵が描けたがその後一生かけて子供のように絵を描くことを学んだ」というような言葉をピカソは残しているがまさにそのエッセンスを最も感じることができる作品たちがこのピリオドを皮切りに溢れんばかりに現れ始めるのだった。
宮殿のような立派なててものはリノベーションも完成した。
ピカソ・マジックペインティングという企画展。
実験的で大胆な絵画制作を始めたピカソの試み。
彼の比類なき表現への探求は現代アートへ大きな影響を与えた。
バスキアにまで通じるものが感じられるずば抜けた絵である。
ピカソはアンドレ・ブルトンからのシュールレアリズムへの誘いは最後まで完全には受け入れなかったという。
絵画への彫刻的なアプローチなのか。突き抜けた絵である。
「子供の絵は素晴らしい、問題はいかにそのままで大人になれるかだ」
キューレーションはさまざまな角度からピカソを考察する。
圧倒的に美しい館内にひっそりとピカソの絵画がある風景。
2階へ上がる階段もとてもエレガントで美しい。
ピカソは絵画と並んで立体作品も数多く残した。
マジックペインティングはピカソのその後の制作にとって重要だ。
多くのアーティストに影響を及ぼしてきたピカソの芸術。
なんというのだろう、これを描くということがすごいことだと思う。
心理学的な側面も絵画の制作に大きく関わっているように思える。
グレーを基調にした落ち着きのある作品である。
ピカソには何が見えていたのか。それこそが凄いことなのだ。
木の質感と絵画がうまく溶け込んだ作品である。
ブロンズ像にも絵画的な要素を感じずにはいられない。
若き日のピカソとその後にピカソの肖像画が並ぶ。
企画展以外にもセザンヌなどの名品も収蔵されている。
写真家アンドレ・ヴィラールとの共同作品も展示されていた。
プリントを数多く制作したのもピカソがパイオニアだと言える。
黒、白、グレーの全てを効果的に使いこなした素晴らしい作品だ。
これは教科書にも乗っているような有名な作品である。
2階から上には常設的な展示が広がる。
無邪気な絵を描けるというのはどれだけ凄いことなのか。
色、形、バランス、どれをとってもインスピレーションを感じる。
ピカソは様々なスタイルの静物画もたくさん残した。
使えそうなものは自転車のハンドルでもなんでも使う。
グレーの調子が渋い静物画のプリントである。欲しい!
陶芸にも全身全霊でハマったピカソは数々の名作を残した。
地下にも展示スペースが増えていたがタペストリーもあった。
ちょっとコミカルでさえある面白い裸婦の像だ。
朝は長い列ができるほど今でも人気の美術館である。