パリのポンピドゥセンターにてフランシス・ベーコンの展覧会を開催しているので見に行ってみた。大変な盛況でこの類稀な画家の人気がうかがえる。ベーコンの絵画はグロテスクと感じる人も多いが他に類を見ないほどにインパクトが強い絵画であることは間違いない。生と死という人間の抱える普遍的なテーマが彼の絵画の源泉であると思っているがそれは決して見た目にはきれいとは言えないが非常に美しいのだ。ベーコンは生前に写真家のピーター・ビアードと親交が深かったというがビアードと言えばアフリカの大自然の中で自然のありのままの姿を捉え続けた写真家だ。毎日繰り返される生と死の物語をビアードは写真に収め、それを自身の言葉と絵を交えたコラージュ作品として日記につけ続けた。そんな彼のダイアリーの中にベーコンが自身が追い求める生と死の姿の片鱗を見出していたのはわかる気がする。我々は生きているが体の細胞は死んでは再生するという刹那を毎日繰り返している。血と肉と骨で形成された肉体を持つ我々の体はこうした生死の繰り返しの果てについに死に絶えて土にかえるのである。ベーコンの描く一見グロテスクな肉体は生と死を繰り返す人間の存在を思い起こさせる姿でありそれは儚く美しいのである。そんなことを思いながらベーコンが描き続けたグロテスクで美しいい絵画を見ながら生命の神秘というようなことにまで思いを馳せた。

ニューヨーク近代美術館より借りられた作品。

ベーコンは自画像を数多く残している。

ベーコンの絵画において奥行きを表す線は非常に重要だ。

展覧会場にあふれる人々。皆ベーコンの作品の前で語り合っていた。

肉体、記憶、生と死の織りなす人間の存在。

バーコンはピカソのある時期の作品に深い感銘を受けたという。

分裂するイメージ、流れる記憶、止まることのない生命。

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