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BLOG - 渋井勇一(RASSLIN'&CO.代表 / Mountain Martial Artsディレクター)

2022年を振り返る(仕事編)

前回の「社会編」に引き続き、2022年を振り返る「仕事編」。自営として気になるのは、やはり日本経済と社会状況の行方だ。

日本はGDP(国内総生産)はアメリカと中国に続き世界3位を維持しているものの、一人当たりGDP(人口/GDP)は27位で、昨年は台湾を下回り、今年は韓国にも抜かれるという試算が発表されている。またGDPもドイツに抜かれて4位転落という予測もある。戦後続いた経済成長も2040年代にはマイナスに転じると見込まれている。

つまり、世界はおろか、アジアにおいても「経済大国」とはいえない状況になりつつある。原因は日本に根付いてしまったデフレマインドだ。

数年前までは「安い」が正義だった。コストカットのために海外に工場を移し、人件費を削り、しまいにはステルス値上げや質を下げる。その間、海外は経済成長し、優秀な人材は海外に流出し、日本の国際競争力は下がってしまった。

経済番組で経済学者が「供給側がステルス値上げをすれば、労働側も同じことをしている。つまり給料が上がらなければ労働の質が下がる。だからデフレ社会は社会としての質が下がる。」という説を説き、今の日本の状況を照らし合わせて納得してしまった。

加えて日本に根付く気質として、過去の成功体験から抜け出せなかったり、新しい挑戦=変化を避ける傾向にある。つまり、イノベーションは生まれにくく、海外との差は開くばかり。

だからといって、諦めてばかりもいられない。そうした状況で必要なのが、「撤退戦」と「適正」だと考えている。

かわぐちかいじ氏の漫画で「ジパング」という作品がある。海上自衛隊のイージス艦が第二次世界大戦中にタイムスリップしてしまい、日本の敗戦を知っている隊員たちがいかに被害を少なく戦線を縮小できるか奮闘する、というストーリーだ。

前回書いたように、この先、国内人口=マーケットが縮小していくことは間違いない。それを見越して、適正な量、適正な価格、適正な市場なのかを見直していく。これまでの戦線拡大路線から、戦線縮小の撤退戦への方向転換だ。

コストを抑えるために大量生産しても、売れずにセールばかりしていては粗利が下がるばかり。今までのように「大きなマーケットだから」と海外進出しても、中国経済は停滞し(61年ぶりに人口減も)、ロシアのような権威主義国でのビジネスは大きなリスクがあることは昨年証明された。変化のためには、いままでの常識を捨てる必要がある。

というのが前提。長々と書いたが、ぼくらのような小商にはできることは限られている。業種や規模によってやるべきことは変わるので、各々が正しくビジネスすることで、日本経済を下支えすることが不可欠である。簡単に言えば「みんなでがんばって日本を盛り上げましょう!」ということだ。

昨年、弊社は10周年を迎えた。同様に自社ブランド「MOUNTAIN MARTIAL ARTS」も10周年。それもあってか、馴染みの繊研新聞の記者さんが声をかけてくれて、インタビューを掲載していただいた。よい記念になりました。

これまでの10年は順調なこともあったし、見込み違いやピンチも数多くあった。それでも続けていられるのは、力を貸していただく専門家の方々やユーザー様のおかげです。いつもありがとうございます。

現状に満足はしていない。それどころか、世界的な景況を鑑みると不安を拭えない。それでも、まだまだやれていないことはあるし、自分と自分の見据えるマーケットの可能性を信じて、今年も前向きに取り組んでいきます。イノベーションが起こっちゃうかもよ。

今年もよろしくお願い致します。

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