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BLOG - 渋井勇一(RASSLIN'&CO.代表 / Mountain Martial Artsディレクター)

元グラフィックデザイナー(日本の労働実態)

iMacを買い換えた。

メイン機はiMacの27インチ(2017)を使っているのだが、なぜかOSがアップデートできない。いまはほとんどのソフトがサブスクでOSが古いままだと対応しなくなるので、何度もアップデートにチャレンジしてみたがダメ。クリーンインストールもダメ。アレもコレもダメダメ。

さすがに心が折れて、買い替えを決意。でも現行iMacは24インチしかなくて、画面が小さくなるのはどうなのかなと悩んだが、もうグラフィックデザインメインの仕事ではないので、意を決してポチっとした次第。メモリとSSDを増設したら、届くまで3週間ほどかかった。

早速、Time Machineからデータ移設。とても時間がかかるので、その間にオフィスの片付けをすることにした。

過去の仕事の資料なども、必要なものを残して廃棄。それにしても懐かしい案件ばかりで、なかなか作業が進まない(大掃除あるある)。昔は撮影もフィルムだったからポラロイドでカンプを作ったり、時代を感じるな。

2005年に会社を辞めてからは、アートディレクション&グラフィックデザインを仕事としていた。クライアントさんの要望を形にする。期待を越える、あっと思っていただけるようなアイデアやデザインを考えるのは楽しかったが、正直なところ無駄と思える作業(※)も多かったし、自分の得意なカテゴリーは実力発揮するものの、不得意なカテゴリーではボロボロと、ぼくには向いていなかったかな。

(※)日本の労働実態について

グラフィックデザインをやっていると「AとA’とBとB’とCとC’が見たい」のような、違いなんてほとんどないデザインを徹夜で作らされた挙句、「やっぱり元のA案で」みたいなことも少なくなかった。ぼくに言わせれば想像力のない(それをこだわりと勘違いしている)仕事のやり方。もっと業務効率化しようよ。

OECD(経済協力開発機構)の調査によると、日本の「男性労働者(短時間労働者を除く)の平均労働時間」は38ヶ国中で1番長いのに(注1)、所得水準は22位。要するに、長時間働かされているのに所得は低い。

数字っていうのは面白くて、現実を浮き彫りにする。同じくOECDの「労働生産性(就業1時間当たり付加価値)」は日本は21位。アメリカの6割程度の水準で、主要先進7ヶ国ではデータ取得可能な1970年以降、ずっと最下位。1時間あたり、アメリカは日本の1.6倍の価値を生んでいるのだ。とても効率的(ただし物価も影響する)。

そして、並んで興味深いのが2019年のランスタッド社の仕事に関する国際調査。調査した34ヶ国中、

・自分のキャリアにおける選択に満足している(調査国平均 84%/最下位:日本 67%)
・コロナ禍で自分個人の目標がより明確になった(調査国平均 73%/最下位:日本 42%)
・コロナ禍で仕事上の目標がより明確になった(調査国平均 72%/最下位:日本 40%)

これらのデータから、日本は労働時間は長く、所得は低く、満足度も低い。なんという地獄、、、

(注1)OECDの「労働時間」は日本は22位。意外に低いように思えるが、これにはトリックがあり、短時間労働者(パートタイムワーカー)が含まれている。日本の短時間労働者比率は22%で5位。もう労働者の2割以上が非正規労働者なのだ。

本筋に戻ると、仕事には適正がある。グラフィックデザインの仕事は良き思い出が多いけど、ぼくには今の仕事のほうが性に合っている。デザインに加えて、マーケット分析やプロダクト企画、販売促進と、多面的に向き合うことでブランドが成り立つ。それぞれのピースがはまった時の喜びはハンパない。

なにより、直接ユーザーさんと向かい合えるのがいい。グラフィックデザイナー時代は向き合う対象がクライアントや代理店だったけど、小売店出身のぼくは、やっぱり常にエンドユーザーのみなさまと向き合っていたい。

個人的には社会も会社もぼくたちの働き方を助けてくれないので、自分で生き甲斐を見つけて行動するしかないと思っている。一度しかない人生と限りある時間。やりたいことをやって生きたほうがいい。

自助の時代なのである。

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