トレイルランニングや登山を始めて出会うのが、ウールのベースレイヤー。ぼくはロングトレイルレースの必携品として2012年に初めて購入した。
とはいえ、汗かきのぼくは運動量の多いトレイルランニングでウールを使う機会がなかなかなかった。速乾性を優先すれば、選択は合繊(ポリエステル)となる。
それから時は経ち、2019年にオーストラリアでのトレイルレースに出た際の話。
5月のオーストラリアは秋が始まる時期で、昼間の気温は高いのだが、陽が暮れると一気に気温が下がる。その日は前半に飛ばしたせいか発汗も多く、暗くなるにつれて汗冷えを感じるようになってきた。おそらく気温は下がり続けるだろうし、前半ほど動くことはできなさそうだ。体温が下がることでコンディションが悪くなることは避けたく、ザックに入れていたウールのベースレイヤーに着替えることにした。
これがとても心地よかった。肌触りはやさしく、自身の体温でほどよく暖かさをキープしてくれる。後半で走力が落ちたのが幸いしてか、前半ほど汗もかかなかった。快適な着心地にこころなしか安心感も感じられ、楽しくフィニッシュすることができた。
それまではアクティビティ時にはほとんど合繊のウェアを着ていたが、あらためてウールならではのメリットを感じる機会になった。天然素材であるウールのメリットは
・湿度を適度に保つ調湿機能を持つため、蒸れることなく快適な着心地
・抗菌防臭効果を持ち、長時間着用しても不快な匂いを発することがない
・体温を蓄熱することで適度な保温性が持続する
そして、なによりも天然繊維ならではの着心地からくる安心感。縦走登山もする自分にとってはとても魅力的な素材であり「MOUNTAIN MARTIAL ARTSでもウールのプロダクトを作ろう!」と思ったのだが、、、
ウールには逆にいくつか気になる点があった。一般的に言われるウールのデメリットは
・速乾性で合繊に劣る(乾きが遅い)
・洗濯により縮んだり、皺ができたりと安定性に欠ける
・ザックにより摩耗したり、擦れて穴が開くなど耐久性が弱い
(特に着心地を優先して細い糸を使うほど強度が弱くなる)
当然、ウールに限らずすべての素材にメリットとデメリットがある。何かを取れば何かを失う。ウールには他の素材にはない魅力があるのは確かなのだが、それでもぼくにブレーキをかけたのが、「メンテナンス性」の問題。洗濯による縮みや素材自体の耐久性の弱さは、日々気軽に使うというわけにはいかない。
「アクティビティ時に優れた機能性はデイリーでも有効」というのが持論であり、作りたいのは山だけではなく、街でも、家でも使えるウェア。それにはメンテナンスに気を使わないというのは重要であり、登山やトレイルランニングにだけ使う特別なウェアというのは、MOUNTAIN MARTIAL ARTSのコンセプトから外れる。
そして、その課題を解決する素材に出会った。ウール(天然繊維)とポリエステル(合繊繊維)を二重構造で編むことにより、それぞれの素材の良さを生かした革新的なハイブリッド素材「POLARTEC® Power Wool」。
(続く)
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