こんにちは。
アメリカ合衆国のサスペンスドラマ、ブラックコメディ『FARGO』にハマっているスタッフのNanakoです。
編み物をしながらチラチラ見ています。(編み物の下りは前回のブログをご覧ください🧶)
このドラマはコーエン兄弟による1996年の映画『ファーゴ』に着想を得て創作し脚本が描かれているそうです。
ドラマはあくまで映画に「着想を得ている」だけでキャストもストーリーもそこまで関係していないそうなので、どちらも楽しめるようです。毎回オープニングで「このドラマは事実に基づいており…云々」と仰々しい文章が流れるのですが、それもフェイク、全くの嘘!という謎の演出があります。笑
それはさておき。
このドラマは殺し屋が主役なだけあって登場人物がどんどん「消えていく」上にやられ方も残虐だったりするのですが、なんだか全体に漂うコメディ感というかなんというか、それでいくらか空気がマイルドになっていて面白いのです。
コメディ、フェイク感、といえばいいのか、、
こういう感じが似ていると感じた作品集がありますので今回はそちらを紹介したいと思います。
Buck Ellison “LIVING TRUST”
アメリカ人アーティスト、バック・エリソンの初作品集。作者は幅広い特権階級の言語について考察すべく、しばしば演出を施した情景や写真の視覚的言語に対する行為遂行的な介入を用い、細部まで綿密にイメージを作り込んでいく。有機野菜にウェルネスセラピー、高機能スポーツウェア、ラクロスにボート、クリスマスカード用の家族のポートレートなど、作者が描くイメージの多くは、裕福な上位中産階級に当てはまる白人家庭の趣味趣向をさりげなく再現しているようにも見える。しかしその内側には、白人であるということとその特権がどのように維持され、広められているかについての多角的で深い問いが網の目のように張り巡らされている。白人らしさは身に着けるものや車に貼ってあるステッカーにも現れるのか。多様な写真のスタイルを用いて、様々な連想を散りばめ作られた本作は、正当性と幸福の探求が美化され、内面化され、商品化されている国、W.A.S.P. (アメリカにおける白人エリート支配層の保守派を指す造語)が支配するアメリカの人類学ともいえる。
この紹介文にある通り、本書の著者バックエリソンは「作り込んだ」写真を撮影するアーティスト。演出された写真にならないように自然に撮られたように見せかけるのが主流といいますか、よく見られる表現だと思います。しかし、こちらの作品集では故意に不自然、違和感を作り出しそしてその「絵」の中で主張を述べている。その点がかなり興味深いと思います。
いろいろな場面を構成する彼ですが、中でもこの写真の違和感が特に好きです。
下の写真は特に彼の白人至上主義をコミカルに描く姿勢が窺えると思います。めちゃくちゃ不自然ですよね。ポージングといい、服装といい、アメリカの「正解」とされるような家族写真に見えます。
作り込まれた世界観を通して彼がどんなことを考えているのか、是非意識して写真を見てみてください。スナップ写真とはまた違った面白さがあると思います。
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FARGOもぜひ時間のあるときにご覧ください💁🏼♀️
Staff Nanako Toriya
SALT AND PEPPER