先日日経新聞に気になる記事があった。日本の小説がイギリスで脚光を浴びているという記事だ。村上春樹? かと思ったら然にあらず、柚木麻子だった(すみません敬称略で)。彼女の書いた作品「BUTTER(バター)」がすでに日本での販売部数を上回ったという。
さらに、英書店大手ウォーターストーンズの2024年のブック・オブ・ザ・イヤーにも選ばれた。
これって結構すごいことだよね。日本のソフトコンテンツはアニメだけではないんだよという証明である。大谷翔平や松山英樹もすごいけど、ここにも希望の星がいたわけだ。
記事は日本の女性作家の作品が向こうで受けていて、さらにそれを読むことが洗練されたファッショナブルなイメージがあるという。
こうなると読んでみたいじゃないかということで書店で買って昨日から読み始めた。まだ途中であるが、主人公の記者が起訴された女性(首都圏連続不審死事件の木嶋佳苗死刑囚がモデル)に拘置所で面会し、徐々に彼女に毒されていく姿はまるでトマス・ハリスの「羊たちの沈黙」だ。
記者は徐々に被告人の人生を追体験していく。被告は好きなバターに思い入れがある。炊き立てのごはんにエシレバターと醤油を一滴垂らして食べる描写を読んだ後などは、無性にそれが食べたくなった。なんだか途中だけど、これはフーディ小説でもある。
イギリスではそんな極東の異文化食事も奇異に映るどころかむしろ羨望であるらしい。そらインバウンドが増えるわけだ。
少子化と高齢化でマーケットがどんどん縮んでいく我が国であるが、見方を変えるとまだまだ成長の余地はあるのである。ただ言語の違いが大きな参入障壁だが。バべルの塔なんか作らなければよかったのに(バベルの塔を作ったのを神が怒り、人々を困らせるよう言語を多様化した)。
ちなみにイギリスですごい話題らしいとこのことを妻に伝えたところ、私も読んだという。一昨年の夏、旅行先でなんか読んでるなと思っていたがどうやらそれだった。
というわけでいまうちに同じ本が2冊あります。なんだかすごく失敗したような気分。