BLOG - 蔡 俊行(フイナム発行人)

パーカーおじさん

 若い頃から先輩編集者と校閲さんに鍛えられているから、表記にはちとうるさい。当欄で脱字を撒き散らしているお前が言うなという声が聞こえてきそうであるが、そこは見逃してください。印刷物になるとちょっと真剣になるんです。うちからリリースしている印刷物はもちろんプロの校閲サービスの目が入っている。それでも完全にミスは防げないんだが。

 前世紀の終わり頃、いまや世界的ブランドのなった某SPAブランドの制作物を一人で作っていた時期があった。チラシ、雑誌広告、カタログ、WEBサイトなど。そこで気になる表記があるので、何度か担当者と意見を交わした。そのブランドの店頭POPや折り込みチラシにある「パーカー」という表記がどうにも気になったのだ。パーカーではなくてパーカではないのか、と。

 英語表記は「Parka」である。これをどう読んでもパーカーという発音にはならない。だから音引きのないパーカが正解なのではないかと意見したのだが、当社ではずっとパーカーと呼んでいるから問題ないと。まあ、外来語の表記に関してはかなりの揺らぎがあるので致し方ない。Radioはラジオ、レイディオではない。

 なんかそんなことを思い出させてくれる「パーカーおじさん」問題である。どの記事もパーカー連発なので、どうにも気になる。おっさんがパーカを着るという行為はこちらとしてはどうでもよくて、表記が気になるのである。

 それにしても自分の周りにいるおっさんは皆、(スエット)パーカをおしゃれに着ている。こういうパーカは、フードが二重になっていてふっくらとボリュームがあってバランスがいい。問題になっているパーカの方はたぶんフードが一重でペラペラの背中にペタッと張り付くようなものじゃないかと邪推する。ファッションではない人のパーカは大体そういうのが多い。

 ちなみにぼくが来ているのは<カンタータ>のスエットパーカ。極厚の裏毛素材なので、洗濯したらフード部分を乾かすのが大変だ。とにかくボリュームがすごくて気にいっているモデル。

 パーカーおじさんと蔑まれようが全然気にしないで着ています。

 

 

 

 

 

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