BLOG - 蔡 俊行(フイナム発行人)

地面師たち

 忙しさにかまけて更新をさぼってた。夏バテではないよ。

 そんな忙中にも閑はあるわけで、Netflixで話題の「地面師たち」をコンプリートした。傑作だった。まだ観てない人が羨ましい。ゼロ知識からこれを観られるわけだから。

 作品は、積水ハウスが55億だか地面師に騙し取られたあの事件をベースにした小説から生まれた。7年前に結構騒がられた事件だ。

 作中、人間の争いごとはすべて土地の奪い合いに起因するというセリフがある。ひとことで言うと戦争も領土の奪い合いだ。本来誰のものでもない土地に価値を付与し、それを命がけで奪い合っている人間の愚かさを皮肉ったセリフだ。バブル、紛争、殺人、土地は人を狂わせる。

 今日は長崎の原爆忌。あの戦争から79年も経った。日本は平和になったが、外に目を向けると戦火はひるむところがない。ウクライナの戦争もイスラエルの侵攻も領土の取り合いである。

 日本の先の戦争も自国領土だけではもの足らず、東から東南アジア一体を自国領土(帝国化)にしようとした大日本帝国の企てに対する欧米諸国の嫌がらせにイラついた軍部が起こした戦争である。

 アメリカ人と戦争をした挙句、物量で圧され最後には原子爆弾を投下され降伏を宣言したのが8月15日。ポツダム宣言受諾が明日8月10日。この5日間、この情報を知らず戦って死んでいった人とその家族の無念を思うと胸が詰まる。

 沖縄戦、東京大空襲、二本の原子爆弾。その他にも日本各地で数多くの空襲があり、数多くの無辜の市民がアメリカ軍に殺された。中東を例に出すまでもないが、殺されたらその相手を許さず憎み、何世代にも渡って復讐の応酬を繰り返すのが世の常だ。しかし我々日本人は、アメリカ人に対してもましてやアメリカ軍に対してもまったくそのような感情を持たない。なんでなんだろ。

 たぶん戦争で亡くなった人の家族も知人もその他多くの日本人も悪いのは日本の軍部であって、アメリカじゃないと感じてるんじゃないかな。そう仕向けたアメリカ人もすごいと思うけど、そのおかげで今日の平和を享受できてる。

 8月はドラマを見てても何かにつけ、こんなことを考えてしまうな。戦争反対。

 

 

 

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