CLOSE
BLOG - 蔡 俊行(フイナム発行人)

追い込まれると思い出す話

 週明けからとてつもなく忙しい週だった。数日間は朝7時に会社にきて、静かな環境で作業。普段は散漫になりがちだが、早朝帯は注意力が増す。おかげでなんとかデッドラインを割ることなく、作業を終えた。控えていたアルコールも緊張をほぐすためちょっぴり。

 それにしても忙しい時に限って、複雑な問題点が湧き起こる。普段は平和なので分散してくれれば取るに足らない処理でも、追い詰められていると混乱する。こんなときいつもするのはタスク管理メモ。やるべきことを紙に書き出し、順番を決め、粛々と進める。明けない夜はない。なんとかなるものだ。

 昔、某雑誌の編集仕事をしている時、入稿用のレイアウトとポジ原稿が入った大きな入稿封筒を自宅に持ち帰り原稿を書いたことがある。週末徹夜して12ページ分を書き上げ、休み明けの印刷所への便に乗せようと電車に乗ったのは覚えている。徹夜続きで頭がボケていたのか、編集部についたときその封筒が見当たらない。封筒とはいってもA2サイズくらいある大きなブルーのもので誌名がドーンと印刷されている。電車に忘れたか。

 その後、身の回りを探しまわり、さらには各所に連絡したけれど出てこなかった。

 締切は迫ってる。腹を括ってやり直すしかない。写真のポジロールからアザーカットを選び直し、レイアウトのデザイナーに詫びをいれ、ふたたびアタリを取り直してもらってデザインしてもらった。幸い、デザインの紙焼きコピーがあった(パソコンの時代じゃない)ので、それをトレースするようにして再デザイン。そして自分への罰となる原稿をもう一度最初から書き直した。パソコンはおろか、ワープロ導入以前の、鉛筆で原稿用紙に文字を書いていた時代の話だ。

 絶望というと言い過ぎだが、気が遠くなったのは確かだ。

 この経験があったので、ちょっとやそっとのことではヘコタレない。今回の忙しさなんてなんてことない。

 入稿後、デザイナーのYさんに夕食を奢ったのを覚えてる。嫌な顔せず笑いながらデザインしてくれた。その節はあざーした。

 

 

 

 

UPDATE BLOG

ブログトップもっと見る