BLOG - 蔡 俊行(フイナム発行人)

バカは風邪をひかない

 若い頃から胃痛持ちであった。

 振り返れば高校時代から、胃が痛いときがあって病院に通っていたことがある。

 胃痛はストレスなどからくるなんて言われていたが、そんなストレスフルな生活ではなかったので、あまりピンときてなかった。むしろ普段の不規則な生活態度に起因するものと、まあ軽く扱っていた。

 かなり長い期間、この胃痛やら膨満感やら胸焼けと戦ってきたのだが、ついに潰瘍ができてしまい投薬治療なども行ってきた。

 そこへヘリコバクターピロリ菌というものが発見され、こいつが消化器系に悪さしているという研究結果が出された。そして医師から検査を勧められ、保菌者であることがわかった。

 結論からいうとうまく除菌できたのだが、その間いろんなトラブルに見舞われた。でもこの話は長くなるのでまた今度。

 以来、胃腸の調子はすこぶるいい。痛みやおろか、胸焼けすらない。誰も見ていなかったら踊りたいくらいの嬉しさだ。

 しかし昔の潰瘍跡があるので、定期検診では胃カメラを勧められている。そして先日その検診時に医師と面談した。

 そこで驚愕の事実が明らかとなった。

 去年の検査で、アニサキスが発見され、そいつをつまみ出したというのだ。そしてその前の日にサバを食ったと言っていたらしい。

 まったく覚えてない。1ミリも。

 たぶん眠る麻酔を打って、検査を行い起こされた後に会話したものだから、薬の影響で記憶が朧げになっていたのだろう。しかしショックなのは記憶障害ではなくアニサキスの方。

 知っていると思うが、アニサキスに攻撃されるともんどり打つ痛さだという。しかし無症状でアニサキスを飼ったまま、胃カメラに臨んだのである。

 バカは風邪をひかないという。

 バカはアニサキスにも、たじろがないのであった。

 

 

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