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BLOG - 蔡 俊行(フイナム発行人)

Unplugged?

 週刊朝日が5月に休刊するというニュース。

 あまり購買するという週刊誌ではなかったけれどdマガジンを購読するようになってからは、ほぼ毎週目を通していた。といっても同サービスは減ページ政策なので、一部しか読めない。嵐山光三郎さんの「コンセント抜いたか」は毎号楽しみにしていた連載だった。5月以降は読めなくなるのは残念。しかしこれも時代の流れ、仕方がない。

 20代の頃からずっと週刊誌を頻繁に購読してきていた。主に文春、新潮、現代、ポスト、サンデー毎日、朝日。買っていた頻度順だ。スマホがない時代、手ぶらで電車に揺られるのは苦痛だった。手もち無沙汰解消という側面もあったが、情報収集、そして読むことで鍛えられる文章作成筋を鍛えるためでもある。いろんな作家のエッセー、ルポライターのスクープ記事から文体、あるいは修辞法、成句、箴言などを学ばせてもらっている。

 暮れにスタッフから聞き取り調査みたいなことをしたところ、文章力を上げたいという要望があった。

 シニアになったプロゴルファーも、ピアニストもバイオリニスも毎日スイングしたり、弾いたりと対象に触れている。なにごとも腕前を上げたいなら練習するしかない。文章力をあげるための素振りは、なんでもいいから片っ端から読むことであるというのが、ぼくの持論。ただし校正者のチェックを通したものに限る。

 週刊誌に限らず、出版社から世に出ている本や雑誌は、すべてこの条件に当てはまる。文字やてにをはの間違い、あるいは事実認定や日付の確認など、校正者や編集者が厳しくチェックする。内容や意見に賛成であろうが反対であろうが、少なくとも書かれていることに間違いはないはずというのが前提だ。まれにちょっとした事故で間違いや誤認はあるかもしれないが、原則正しいはずである。

 ネットに散らばっている文章は、こうした校正者や編集者のチェックがほとんど通っていない。フェイクニュースのような悪意のあるものは論外だが、書き手の勘違いや誤解もそのままネットに乗ってしまうという問題がある。

 そういう意味でこうした新聞社や出版社から、複数の点検者の目を通して世に出るこうした文章を目にする機会が少なくなるのは、社会として大きな損失と言わざるを得ない。

 しかしそれを引き止めることは、もはや不可能。

 コンセントを繋がないと何も読めない未来はすぐそこだ。

 

 

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