BLOG - 蔡 俊行(フイナム発行人)

コスパ

 先日ポストしたこの件に関連するようなニュース。

「ファスト映画」で損害賠償。東方など大手13社、東京地裁

 他者の営業行為・活動を妨害、あるいは毀損させるようなことがあると罰せられることがあるというあたりまえの前提が、いまの社会に欠けているような気がする。行き過ぎた権利主張には与しないこともあるが、これは明らかに真っ黒なケースなので、それなりの賠償はしてもらわないと。そうでないと表現者側の権利が侵害されて、創作物を作ろうという者がいなくなってしまう。少数の利己的な行為が、大きな社会損失を生むわけであるから、類似犯がでないようにビシッと対応して欲しいと思うところだ。

 コメント欄に、面白いかどうかわからない作品に2時間付き合わされるのはコスパが合わない、というようなのがあったが、そういう人はそもそも付き合わなくていいから。コスパ追求したプアな生活をしていけばいい。面白いかどうかは、作品作りに携わる人たちの名前を見るだけでだいたいわかる。そこまでいくのにもコスパがかかると文句を言う人は、創作物を楽しむ資格がない。

 我々だって、時間をかけて労力かけて作った雑誌を無断でネットに掲載されたりすると悲しい気持ちになる。買ってくれる人たちがいるから、それが次の号を作れる原資になるわけで、コスパが悪いとそこを取り上げられると、手も足もでない。

「ファスト映画」をやった人は、そんな権利関係に疎く、こうしたらみんなが喜び、もしかすると自分も儲かるかもという気軽な気持ちでやったのかもしれないが、無知は罪なのである。

 しかしいま、どこでもコスパという言葉ばかり。特に若いひとたち。

 将来、コスパの悪いすべてのことは世の中から払拭されるのだろうか。

 何時間も煮込んだカレーなどコスパが悪いと、材料全部ミキサーでかき混ぜたようなものを食べる日が来るのだろうか。

 

 

 

 

 

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