BLOG - 蔡 俊行(フイナム発行人)

コロナは自然律か

 暮れだったか新聞にこんな記事が載っていた。

「(2021年度の)新生児80万人割れも コロナで少子化想定超え」。

 見出しだけで記事を読まなくてもわかる。少子化が止まらない。コロナのせいでもあるが、根っこはまた違うところにある。政治家が票に結びつかないからとずうっと放っておいたからだ。ちなみに戦後のベビーブーマー世代は年間240万人くらい生まれていたというから、その3分の1。ちょっと恐ろしい。

 人口減の未来について、さまざまな意見がある。いいという意見もこれはまずいという意見も。ぼく個人は後者に与する。例えば税収がどんどん先細り、公共サービスが行き届かなくなる。地方の橋や道路、ボロボロになっても誰も修理できない。さらには世代間で互恵しあっている社会福祉制度に歪みがでる。要するに年金などであるが、いまの若い世代、これから生まれてくる世代は、いま受給されている高齢者世代に比べて、受給額が大幅に制限される。もう何年も前から議論されているが、役所や政治家の将来予想は甘く、数年ごとに見直しされてどんどんが悪化しているのは承知のとおり。

 現在、少なくないリタイヤ世代は高度成長時代に購入した家に住み、ゆとりのある蓄えと年金で悠々自適の性格を送っている。一方で若者たちは、失われた30年やリーマンショックなど外的要因により就職難やあるいは正社員になれない苦しみを負っている。少子化の理由がここにもある。若い人が経済的な理由で結婚できないから、そもそも子供は生まれない。

 世代間差別、とでも言えばいいのか、日本では目に見えない階級制度のように老人と若者が分断されている。

 政治は民意である。確かに前提はそうなのであるが、いま投票所に向かうのは圧倒的に老人だ。すなわち政治家は老人に利する政策を掲げるし実行する。それに文句あるなら投票所に行け、なのだが若者は何か行動を起こしたからといってこの国は簡単に変わらないとシラけている。

 損をするのは若者ばかり。

 コロナが始まって一年が経つ。まだわからないことのほうが多いが、統計からすこしわかってきたことがある。そのひとつが若者は死なない、だ。

 政治家は飲食店に時間短縮を迫ったり、企業にリモートワークを押し付けているが、これは誰のため? そう老人の命のためである。

 昨日も渋谷に若者が大勢でていたとテレビでやっていた。もちろん後ろめたさはあるかもしれないが、彼らはわかっている。自分らは死なないと。

 政治家が若者に、家にいてください、ステイホーム、なんて言っても、なんにも響かない。だってこれまでなんにも若者にやってくれてないんだから。

 もう、自業自得なんですよ。ぼくを含め、それなりに年いった者たちは。

 本当かどうか知らないが、戦争が起きそうな時に男子が多く生まれるという自然律がある。この自然率は、世界人口が多いということで調整に入ったのかな。老人を間引き、バランスよく人口をバランスさせようと。

 

 

 

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