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BLOG - 蔡 俊行(フイナム発行人)

エキスに集まるのだ

先週の土曜日、いまや2年待ちという、とある食堂へ行った。食堂といってもコース料理とお酒を出す飲食店。店名に「食堂」という文字がくっつくのでそう呼ぶだけ。

メンバーはスタイリストやデザイナーなどで一線で活躍する面々。ぼくを入れておっさん5名がカウンターの角っこをぐるりと占拠しているもんだからそれなりに圧はあったと思う。

15時からのスタート。一般的にこの時間は昼食と夕食の中間の時間、というかおやつタイム。このために朝食をコントロールし、ランチは抜いて参加することに。結果的に前夜のパーティの夜更かしと時差が影響して、11時に別の約束した者からの電話で起こされる始末。Tくんごめんね。

おやつどころか煮卵のウニのせからスタート。それからはめくるめくときめきの時間であった。美味しいのはもちろんだが、楽しいと言った方がいい飲食体験。店主の人柄もよく、繁昌するのも当然かという思いであった。惜しむらくは自分の体調。時差に加え、極度の二日酔いでコンディションが万全ではなく、もっているパフォーマンスの半分も出せなかった。なんのパフォーマンスかわからんが。

最後のデザートはもはや胃袋に納まりきらなそうなので、持ち帰りにさせてもらった。

時計を見るとまだ17時半すぎ。時節柄空は暗いが、これ夏だったらまだ明るい。二次会に繰り出してももしかするとまだハッピーアワーな時間である。それはそれで楽しいだろうね。できれば来年の初夏あたりにまた行きたい。しかし2年待ちというから2021年の初夏ということになるのかもしれない。

こういう話をするとその時まで生きているのかわからないというような大げさな話をする人がいるが、ぼくは生きていたい。あとその時にそのお店で食べたいかわからないからと文句をいう人もいるが、レストランの食事はエンターテインメント。コンサートや遊園地、あるいは旅行と同じなんだよね。来年の春にボブ・ディラン聞きたいかどうかなんて誰にもわからんけど(もしかすると思い切り凹んでいる時期かもしれないし)、それでも好きな人は予約するでしょ。

というわけで○年後まで待たなくてはならないレストランのリストがどんどん増えている。

一方で苦戦しているレストランの数はその何倍にものぼる。一強全弱な格差問題がここでも広がっている。情報が精製されみんながエキスに集まるもんだから、それ以外のものはすべてダメ。これ飲食店に限った話じゃないよね。

 

 

 

 

 

 

 

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