BLOG - 岡田哲哉(グローブスペックス 代表)

秋のヨーロッパ出張。その1

毎年9月はパリで開催される「SILMO」展に出席するため、ヨーロッパに行きます。ミラノの「MIDO」と並ぶ世界最大級の国際メガネ展示会です。毎回、海外出張に出ると、展示会以外の場所にも立ち寄って普段日本ではできないことを行ったり、人に会ったりします。

今回はオーストリアのウィーンとインスブルック、パリ、ポルトガルのポルトを巡ります。

また「グローブスペックス」では意欲的なスタッフたちも出張に同行させています。直接デザイナーの熱量を感じたり、デザインが生まれる場所を訪れることは想像以上に刺激的であり得られるモノが多いのです。日本に帰ってからイベントを開催する際に思いつくインスピレーションはレベルが異なるものになり、お客様にブランドを紹介する際にも自分が感じてきたことを、それまでより生き生きと迫力を持って伝えられるようになります。また私がどのようにいろいろなブランドと関係性を築いているのか知るのは将来役立てられますし、運が良ければ新たなブランドと出会う様子を目の当たりにできるチャンスもあります。

今回は3名のストアスタッフも同行しました。

 

Day 1

上:ウィーンの古いパサージュ 下:ウィーンの大聖堂「シュテファンスドーム」

始めにウィーンで訪れたのはこの地の名店「HARTMANN」です。オーナーのErichが一代で築き上げたこの店で扱う、ウィーンで古くから作られ大事にされてきた天然素材、バッファローホーンのメガネやアクセサリーたちを「グローブスペックス」では創業時から紹介してきました。ヨーロッパでバッファローホーンは優しい手触りと美しい質感から、メガネ以外にも櫛(クシ)、シューホーン(靴べら)、ナイフの柄など、人の手に触れる道具に多く使われてきました。前回、春に訪ねてオーダーした商品たちをもうそろそろ店頭で紹介できる予定です。

上は創業者のErich Hartmann氏。「HARTMANN」のウィンドウは地元アーティストの作品を公開できるようにしている。

今回は新たな商品の確認と、初めて「HARTMANN」を訪ねるスタッフたちがヨーロッパの中でも有名なこの名店を視察しました。視力測定などの技術にも力を入れている店なので、最新鋭の技術機器が新たに揃えられています。

もうすぐ「グローブスペックス」店頭に並ぶバッファローホーンフレームと、ショップスタッフのMartin。

「HARTMANN」が力を入れている技術サービスを行う部屋。

「HARTMANN」を訪ねた後は、ウィーンに来ると必ず寄っているお店でランチです。「GAST HAUS PÖSCHL」という店で、あまり旅行者はいないのですが、地元ウィーン子たちにはとても人気があるんです。ウィーンの名物料理といえばWiener Schnitzel(ウィーナーシュニッツェル:子牛肉のカツレツ)ですが、地元の人はここが一番美味しいと言います。でもここで一番気に入っている料理は、必ず食べるオーストリアの家庭料理Reisfleisch(ライスフライシュ:チキンと野菜を使ったお米の料理)。今回初めてWiener Schnitzelも食べてみましたが、確かに絶品でした!

上:店の外観 中:奥のプレートがReisfleisch 下:Wiener Schnitzel

「グローブスペックス」のロゴは、実は26年前にウィーンのデザイナーに作ってもらいました。そのデザインを手がけたアレキサンドラが近年形あるアイテムのデザインも始めたのでランチの後、そのアトリエを訪ねました。メガネではないものです。素晴らしい出来栄えなのですが、「グローブスペックス」で紹介するかどうか、まだ思案中です。取り扱いを開始する場合には、また改めてご報告します。

その後は「ミュールバウアー」のアトリエを訪ねました。

このブランドは、ウィーンで120年以上続く帽子ブランドで、「グローブスペックス」でも2003年から紹介しています。今週末から行う帽子のオーダーイベントの詰めを行いつつ、同行スタッフたちが帽子製造の工程を視察しました。「ミュールバウアー」はチロリアンハットがベースにあったようですが、今ではさまざまな素材やスタイルを扱っています。でも一番基本となる冬物のファーフェルトと、夏物のストロー素材に関しては、素材特性を最大限活かすノウハウを持っていて、特に帽子の形を作る土台の木型に関しては代々継承してきたものを修復しながら大切に使っています。

またミシンや帽子を作るさまざまな工具も100年近く前から使われています。今はもう作れられていないものも多く、その中にはまだまだ優れた道具も多くあるそうです。機械で大量生産する帽子と比べると、素材の細やかな美しさが際立ち、仕上げの美しさが歴然と異なります。同行したスタッフたちも改めてブランドのこだわりに感心し、紹介する自信を深めたようでした。

帽子の木型には100年近く前から使われているものも。こちらも年季の入ったミシン。

デザイナーでありブランドの4代目オーナーであるクラウスと会う予定でしたが、ちょうど我々が到着する直前にあった東ヨーロッパの集中豪雨で、クラウスが住むドナウ川沿いのカントリーハウスが冠水に遭い、会えずじまいでした。幸い大事にまでは至らなかったようで、良かったです。

私の左がプロダクションマネージャーのKatharina、右がコミュニケーションのVerena。この2人にアトリエを案内してくれました。

 

次回のブログでは「Day2」の模様を紹介します。

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